「白すぎ城が黒ずんだ?論争」に白黒つけようか?白漆喰この2年の変貌(2016/03)
2016/04/06
姫路城がグランドオープンを迎え、白すぎ城と揶揄されていたのを懐かしく思います。
当サイトでもその頃、白すぎ城について記事を書かせて頂きました。
当時、城郭研究センター様への取材で明らかになった白すぎ城に対する努力は、
現在も功をそうして鮮やかな姫路城を保っています。
そこで実際に「白すぎ」のままなのか「黒ずんだ」のかを白黒つけてみます。
概要(見出し)
白黒つかない「白すぎ城」の変遷
白すぎ城が話題に上がっていたころに以下の記事をご紹介していました。
当時はこのサイトではなくブログの方の1記事としてご紹介していたのですが、
とても多くの方にお読みいただくことができました。
当サイトでも独自に取材をして、漆喰が黒ずんでいくことについてご紹介しました。
2016年現在、白すぎ城が黒ずんだのか?という事が議論になっているようで、
神戸新聞でもこんな記事を異例に報じています。
「白すぎ城」黒ずんだ? 姫路城、大修理完了1年
美白効果、薄れる? 兵庫県の世界文化遺産・国宝姫路城が「平成の大修理」を終え、グランドオープンから27日で丸1年を迎えた。当初は塗り替えられた漆喰(しっくい)が目を引き、「白すぎ城」とやゆされたが、再び大天守の色が話題となっている。「まだ白い」「いやいや、黒ずんだ」。この論争に“白黒”つけようと取材を進めると、文化財特有の宿命にたどり着いた。(末永陽子)
(中略・・・)
ところが、城を見続けてきた地元の反応はちょっと違う。
城のお膝元、みゆき通り商店街で長年、喫茶店を営む男性は「修理後の白さが強く印象に残っているからか、最近はグレーがかってきた気がする」。毎週末、城周辺をランニングする会社員の女性(24)も「昨年末ごろ、色が変わってきたなぁと思うようになった」と話す。
姫路市文化財課などに尋ねると、黒ずむ主な要因は漆喰に生じるカビだが、「今のところ、カビはまだ発生していない」と担当者。大修理では白の美を長く見てもらうため、構造材を傷めない防カビ剤が散布された。
とはいえ、昔ながらの材料と伝統工法で仕上げられているため、薬剤の効果はいずれなくなる。「自然な経年変化があるのは文化財として当たり前。大修理が正常に行われた証明になる」
(中略・・・)
この1年の入城者数は国内城郭で過去最多を記録し、280万人を超えると見込まれている。「何度でも足を運んで色を確かめてもらえたら」と市観光振興課。みなさんにはどう見えますか。
(引用)2016/3/27 09:27 神戸新聞NEXT|社会|「白すぎ城」黒ずんだ? 姫路城、大修理完了1年
『「何度でも足を運んで色を確かめてもらえたら」と市観光振興課。』(笑)
黒ずんだかどうかさえ、観光振興に活かそうという、したたかさはさすが。
さて、結論は「皆さんはどう見えますか?」と球を投げられた形になっています。
個人的な印象としては「黒」だが、光の具合による「黄ば見え」が大半
2014年の3月頃、姫路城の大天守は修復を終えてから、
桜の季節に姫路城の天空の白鷺の覆いが外されはじめ、
2015年の3月のグランドオープンのお披露目を迎えるまでの
待期期間が1年間強あり、既にずっと風雨にさらされてきました。
平成の大修復見学施設「天空の白鷺」が閉館します。(2014年1月15日)
覆いが外され始めています。2014年春です。(2014年4月3日)
この辺りから大天守に雨が当たるようになっていきます。
2014年6月頃には大天守の半分があらわに。(2014年5月5日)
完全に覆いがなくなった状態になっています。(2014年7月3日 )
この辺りから大天守を毎日眺めることができるようになりました。
そして、白さが最も際立つ季節が夏の強い日差しです。(2014年9月10日)
姫路市民が姫路城を「白い!」と感じている第一段階が実はこの状態です。
グランドオープンの頃の白さではなく、さらに半年前の状態がスタートラインです。
※写真は夏の終わり9月上旬の撮影です。
どうでしょう?白いのが引き立っていると思います。
より白さが引き立っている写真として、10月の姫路城がありましたので一応。
※写真ですのでホワイトバランスの設定にも依存しますから、一概に白さは写真ではわかりません。
そして丁度1年前グランドオープン直後の桜シーズンの姫路城です。
少し遠いのでわかりにくいかもしれません。
要は写真じゃ結局、わからないってことなんです。
グランドオープン直前の頃には既に失われつつある白すぎ城?
上記の写真は2015年4月ですが、以下は2015年3月23日の記事。
グランドオープンの少し前に、以下の記事で白さが失われていることについてご紹介しています。
拡大すると逆にわかりにくいかもしれませんが、
この覆いが取れる少し前に大天守を見たときも、なんか少し黄色くなってる気がする・・・そう感じました。
(嫁も同意・同感)それが「太鼓櫓(への櫓)」の登場でさらに強調されて感じます。
(以下より抜粋)
そうなのです。
当時、修復を終えた「太鼓櫓(ヘの渡櫓)」(+りの門)は鮮やかな白さが際立っていました。
大天守の白さと比較すると、大天守の壁面ですら若干黄ばんでいるように見えます。
グランドオープン1年後(覆いがなくなって2年)の今
パッと見ただけでは、上記のようにわざわざ別のところと見比べなければ、
「白さが黒ずんだのかさえわからない」というのが現状であり、事実です。
「なんとなく黒ずんだ気がする」の大半は、
天候や太陽光の当たり方や、光量の違いによる「感覚」がほとんどだと思います。
そういう意味では、前回の「太鼓櫓(への櫓)」も天候の問題だったかもしれません。
その為、大天守全体で撮影日が1年違っても、
実は現在の姫路城もとても白く鮮やかです。
2015年
2016年
全く同じ天候、光量、角度など条件が同一でもない限り、
写真で分かる範囲はこの程度です。
その為、
「姫路城は今も白すぎ城である(が、たまに黄ばんで見える)」
これが当サイトとしての結論です。
ただ劣化がないわけではなく、劣化はしっかり発生しています。
大屋根から見る経年劣化
明らかに誰でも劣化が確認できる場所が1つだけあります。
大天守6階から見える5階の屋根漆喰仕上げです。
グランドオープン直前(内覧会)の屋根です。
で、現在(先日)の屋根です。
どうでしょうか?
わかりますか?
角度、スケールが違うのでわかりにくいと思います。
グランドオープンの頃の屋根部の拡大です。
漆喰が白く鮮やかですが、既に部分的にポツポツとカビのような黒い点が出てきています。
これが、2014年3月~2015年3月の間、1年の経年劣化の表れです。
よく見ないと分かりません。
鯱瓦下の部分の瓦の現在です。
※同アングルのショットがありませんでした。
別の場所の拡大です。
似た角度からの比較でご紹介します。
左が2015年、右が2016年です。
パッと見で黒ずみが増えているのが見て取れます。
拡大すると顕著。
水が多く流れやすい箇所、乾きにくい隅部に多くカビのようなものが発生しています。
屋根漆喰の素材による汚れやすさ
屋根漆喰は見ての通り、表面がざらざらとした仕上げになる素材で仕上げられています。
風雨に耐えるための素材選定をした結果、こうした漆喰なのでしょう。
強度重視の骨材が入っていると見て取れます。
※コンクリート的に言えば骨材、要は混ぜ物ですね。
この点では壁漆喰の平坦な仕上げとは異なっていて、屋根漆喰は汚れやすいことがわかります。
細かな凹凸の凹部分にカビのようなものが入り込んでいるように見えます。
また、全体的に少し漆喰がグレーに近づいているようにも見えます。
要するに、汚れやすい仕上げ材を採用している屋根漆喰ですら、
こうして近くで見てわかるレベルの経年変化にとどまっているという事です。
グランドオープンからの1年間でも。
遠目で見ても、
この違いを知って姫路城の屋根を意識して見ると、
実際に屋根漆喰が黒ずんでいることが目でわかります。
今度、意識してみてみてください。
壁面は平坦かつ垂直
まして、垂直面で雨にさらされることが少なく、
平坦な仕上げを採用している壁漆喰では、そうした汚れの影響は非常に少ないと考えられます。
風が吹き付けることによっての埃、チリ、黄砂、PM2.5など、
多くの飛散物が濡れた壁面に付着し、乾かされて汚れが定着することもあるでしょう。
それでも壁面の汚れは、屋根に比べて明らかに進行が遅いと言えます。
現に、修復前の屋根瓦を見てみると、
「姫路城が黒く見える」という大きな要因が屋根瓦と屋根漆喰の黒ずみによる部分が大きいです。
見えにくいですが、壁は比較的白さを保って修復を迎えています。
漆喰は瓦の色と同化して、漆喰仕上げになっていることすらわからないほどです。
年月を経てここまでの仕上がりになっていったんだと思います。(以下より抜粋)
そうした点を見ていくと、
大手前通りや、三の丸広場など外から姫路城を見た状態で、
「多く見えている壁面」が黒ずんで見えるという事は皆無で「黄ばんだ」程度の変化だと思います。
こと、屋根に関しては前述の通り少しずつ漆喰がグレーになってきています。
屋根のグレー色が段々と黒に近づいていく、これからの50年。
次の改修を迎える頃には、今回の改修前に見た屋根漆喰のような、
重厚感と風格を感じさせてくれるような漆喰の色へと変貌していることでしょう。
今の姫路城がいつも見頃、一瞬の姿こそ貴方が目で見た姫路城
観光会社などでは「白すぎ城」の白さこそが姫路城の魅力とばかりに、
ツアーを組んだりしているようですが、
まだまだその白さは健在だと思います。
阪急交通社は今も「白すぎる城『白鷺(しらさぎ)城』」を目玉にツアーを売り出している。ツアーは予想を上回る売れ行きで、同社は「まだまだ話題性は十分。少しでも長く白さを保ってほしい」と期待する。
でも、個人的には「今の姫路城」は今しか見れないもの。
城内のいたるところで常に行われている修復は、
城の白さの変貌とはまた違って、今その時の姫路城を表しています。
姫路城内の各所の修理風景は実はガッカリではなく、
貴重な一時代の一瞬に自分がいるんだという認識をさせてくれる風景なのです。私はいろいろな時期の姫路城を撮影してきましたが、
それでも「あの時のあの角度」を撮っておけばよかった・・・なんてことが良くあります。でも、もう二度と撮れません。
(以下より抜粋)
いつ姫路城に旅行に来て、観ても、
その時のその姫路城の風貌こそが、
「あなたが目で見た、1時代の一瞬の姫路城」なのです。
「白くなければ意味がない」のではなく、
400年脈々と受け継いで修復を繰り返し残されてきた姫路城は、
時代、時期、シーズンを問わず、いつでも見頃です。
あなたが見た姫路城は、その瞬間の最高の姫路城なのです。
そんな姫路城は人々の思いがこもり残されてきたのです。(たぶん・・・)
綺麗に纏めてないで白黒つけろよ?
だよね「黄ばんだ」という纏め方は、結局逃げてますよね。
姫路城は「白すぎ城」健在。
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