入城制限に【達しない】のではなく、入城制限ギリギリへの【調整が秀逸】な運営
2015/04/07
姫路城大天守登閣への1日の登閣者数が、
2015/04/02に「14,806人」を記録した姫路城ですが、
これまでに大天守への入場制限(15,000人/日)が行われたことはありません。
しかし、これは「姫路城への求心力が予想より低い」ということではなく、
現場の案内員さんたちの日々の連絡と調整の賜物なのです。
概要(見出し)
入城制限に【達しない】のではなく、入城制限ギリギリへの【調整が秀逸】な運営
入場制限(15,000人/日)とは、
登閣者が15,000人を超える場合に行うとされている制限です。
実際にはこれまでも姫路城への登閣を希望して並んだ人や、
並ばなかったが登閣を希望していた人は、
優に15,000人を超えていたことでしょう。
そんな中、入場制限が起こらないように一日の流量を微調整して、
11,000人から15,000人弱に調整していることが、
逆にすばらしいと思うのです。
※ここでは人の流れを便宜上「流量」と表現しています。
様々に設けられる制限ポイント
姫路城の代表的な調整弁は「入城口(大手改札)」と、
「登閣口(整理券検札ポイント・水の四門前)」です。
こうした案内員さんが常にいるポイントでは、
常に列の長さを調整しながら、人の入城を調整しています。
以下のような図のように待ち行列ができます。
現在、行われている制限は、大天守内の混雑状況を見て、
後から入ってくるお客の流入を、外で制限することで、
大天守内で身動きが取れなくなるほどの混雑を避ける施策です。
大天守内制限も実施
以前、耳にした他の制限としては、
大天守内の2階や4階で、上階への移動を制限し、
大天守最上階の混雑を避ける施策が行われる場合もあるようです。
現在でも渋滞が、大天守2階などでは発生する場合があります。
※4/2(木)の16:45頃の状況でこれはマシな方(日中はさらに混雑していたとの事)
上階の様子が見えないので定かではありませんが、
こうした滞留を、2階や4階などの広いスペース内で発生させて、
大天守最上階の混雑を緩和しているようです。
大天守2階の図に当てはめると、このように列が伸びています。
この2階は広いスペースになっているため、
緩衝スペースとして利用されているのがわかります。
案内員さんたちの緻密な連携
大天守内の各所、登閣口、入城口と様々な場所で流量制限を行うには、
案内員さん達の連携と努力で成り立っています。
様々な場所の案内員さん同士が、
インカムで綿密に連絡を取り合いながら、
自分が担当している場所の列の長さを調整し合いながら、
毎日の運営をされています。
インカムで話されている内容を聞き耳を立ててみると、
「現在、最後尾『にの門』です」
などと、言われているのを聞くことができます。
最近の状況では、
最後尾がなるべく「官兵衛の十字瓦」のある「乾曲輪」周辺に調整され、
入城口(大手改札)からの流入を調整されています。
その為、少し先に進んだ「にの門」まで最後尾が来ていれば、
「入城口は列を進めていい」などの判断ができるというわけです。
逆に大天守内はできる限り列をスムーズに進めていくことに、
常に尽力されていることでしょう。
先の流れを進めつつも、城内各所で待ち行列を作りつつ、
混雑を緩和する努力をされています。
その結果、2015/04/02に「14,806人」登閣
なんとなく「14,806人」登閣と聞くと、
15,000人に到達しなかったのか・・・と感じがちです。
これは実は逆のはずなのです。
上限15,000人の登閣者数にできる限り近づけつつ、超えないように、
1日の流量を調整して、出した結果だと思うのです。
15,000人を超えた登閣者がでれば、
その日の前半に、若干入城させすぎたことになります。
※これは来客者の安全性低下を招きます。
また大きく下回れば、流量を絞り過ぎて、
回転が悪くなり過ぎたとも言えます(その日の混雑状況にも寄るが)
※これは直接、市の収益性の悪化につながります。
実際には、これまでも既に「15,000人」を超える登閣希望者が、
姫路城の城内には訪れていたはずです。
そんな中「列の長さを見て」「待ち時間を見て」様々な要素で、
断念した人も多くいるはずなのです。
そうした並ぶ人、断念する人などの要素をうまく調整し、
出した結果が「14,806人」なのです。
「制限まで200人弱ギリギリにまでに値を載せてきた」と私は思います。
なら今後もこの状態なの?
とすると、
今後も大天守への登閣者を最上階の混雑状況を中心に制限するこの状況は、
変わらないのではないかと感じると思います。
状況のそもそもの問題は「滞留箇所」の解消です。
列の長い部分を消化しつつ、先を流す。
今のところあまり長い列は発生していませんが、
「平成の大改修」の直前には、
入城口(大手改札)からの列は桜門橋を超えたとも聞いています。
このような滞留が発生した場合、
できる限り最後尾を進めて、城内に進める必要が出てきます。
※諦めてもらう人を増やす必要もありますが・・・。
現在は「はの門」前後で調整している列最後尾を、
城内に一旦列を入れて「ろの門」の外にまで、
列最後尾を伸ばして調整するでしょう。
城内では既にその準備はできています。
これは「ろの門」の外の補強石垣があるエリアです。
こうした列の長さを余裕のある場所で吸収しつつ、
15,000人前後の登閣者に合わせて1日を調整していくのです。
波が大きな人の入りをより平坦化させて、
うまく調整していくこのコミュニケーションは秀逸だと思います。
待たされる方はイライラとして、早くしたいと思うでしょう。
しかし、そうした日々の努力によって、
一日の登閣者数が15,000人に収まるように列の調整をされているのです。
内覧者の将棋倒しなどが発生しないように、
混雑の緩和の努力をされています。
待ち時間にはそんな案内員さん達の連携や、
立ち振る舞い、立ち回りなどを横目で見ながら、
行列に並んでいると「頑張っているなー」と、
待ち時間も気にせず待つことができるかもしれません。
待ち時間にはARアプリなどで遊びながら待つと時間が有効に使えます。
今後の課題
今後、ゴールデンウィークなどには待ち行列が大手門近くにまで伸び、
待ち時間が4時間などの規模に達することも想定されています。
この場合の難しさが「整理券の配布」です。
現在、整理券の配布は入城口(大手改札)前で行われています。
その為、大手門付近の最後尾に並んだ際に、
「整理券を受け取れるかさえ、わからない」
そんな状況になりかねません。
並んでみたものの、整理券を受け取れず登閣できない場合も考えられます。
「今から並ばれても登閣をお約束できません!」
などの、アナウンスはされるとは思います。
しかし、この辺はアナウンスだけでは、
納得できない人も出てくるでしょう。
整理券の配布を少しずつ列の後ろ側で行うように変えていき、
「ここまでで、今日の登閣は終了」といったように、
待ち行列の終了(切り上げ)を行ってくる可能性もあります。
そうしなければ、無駄な列が伸びるだけですからね。
そんな時期が5月の初旬にきっと来る。
そんな気がするので、桜が終わったGW前のこの時期は、
2時間程度の待ち時間なら我慢しても登閣する方がいいと私は思います。
現在は、まだマシな方です。
ずるい方法を選んでもメリットなし
さて、常に待ち時間が発生している姫路城ですが、
待ち時間をより短く、
人の少ない時間帯に内覧したいと思うのは、人の性。
そう思いますよね。
結局のところ、待ち時間も人の少なさも早朝がベストだと思います。
現在は、アーリーオープン(早期開城)期間のため、
午前8:00から開城されています。
7時から列に並んだとした場合、
入城口からの待ち時間は「60分」。
登閣口までの待ち時間は先に人が居ませんので「0分」となり最短です。
また現在の並んでいる列の状態はライブカメラで配信されています。
インターネット経由でどこからでも現在の待ち行列の状態を見ることができます。
結局は、皆が寝ている時間帯を狙って並ぶ。
それが一番ゆっくり見ることができることになります。
旅行で何が何でも「今日登閣!」という場合には、
朝食を早くにとるか、朝食前に並んでしまうのがお勧めです。
登閣後にゆっくり朝食を取ればいいんです。
なら、一日の最後尾に並べば、後ろから人が来ないから、
空いているんじゃないの?
そんなずるい方法を選びたくもなりますが、
そんな方法を選択しても無駄です。実際に試していますww
ゆっくり見れるどころか、メリットは全くありません。
その為、早期入城がお勧めです。
多くの人が訪れている姫路城です。
見る側もオフピークを心掛けて、賢く並んで内覧をしたいものです。
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