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姫路城の石垣は大丈夫か?風雨も侮れない石垣と法面(のりめん)の膨らみ

      2017/05/25

石垣は長い年月に渡って安定した地盤を形成することができ、
21世紀の現代においてもその堅固さを見直されている構造でもあります。
石垣は近代的な工法に比べて石本来の対応年数(未知数)による部分が多く、
ピラミッドやその他城郭石垣が現存していることからもその実績はコンクリート派生建造物と比べて、
遥かに対応年数が高い工法であるとも言えます。
ただし、地震や集中豪雨に対しての弱さを持つ部分もあると言えます。

 

風雨も侮れない石垣と法面(のりめん)の膨らみ

石垣と言うと大規模な城郭建築による落差が高い石垣を思い浮かべますが、
過去河川や海岸線などを補強するために施工された石垣が、
現在も残る例は多くあります。

以下は、鉄道を敷設するさいに施工された石垣が崩れた例ですが、
崩れる前に石垣の壁面の膨らみ(孕み)が目に見えてわかるほどに表れていたことが、
男性のコメントから読み取れます。

2017/4/18 10:01神戸新聞NEXT

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(出典:神戸新聞)芦屋市大原町の阪急神戸線芦屋川-夙川間石垣の崩落模様

芦屋市大原町の阪急神戸線芦屋川-夙川間では18日午前8時15分ごろ、線路脇ののり面が崩れているのを近くに住む男性(50)が見つけ、同電鉄に届けた。阪急電鉄によると、のり面は高さ約2・5メートル、幅約4メートルにわたって崩壊。線路から約3メートル離れており「安全運行に支障はない」とする。

 芦屋市防災安全課によると、17日午後から市内で降り続いた雨で崩れた可能性が高いという。男性は「水を含んだ線路沿いの壁が膨らんできて怖かった。電車の重みで、さらに崩れないか心配」と話した。

(出典・抜粋引用:リンク切れ)神戸新聞NEXT|事件・事故|大雨で雨量観測史上最多 兵庫県内3カ所で4月
(Evernote)https://www.evernote.com/shard/s380/sh/3639bd71-fd56-48f9-885b-5ce459947391/38e0c75088481f0631e02c161a9987d1

 

また熊本城を特集したNHK番組でも以下のように、
先日の大地震で耐えた石垣の多くは築城当時(400年前)に造られた石垣であったという事実と共に、
その石垣でさえ、余震の影響のためか石垣が膨らみだしている事が問題になっています。

明治時代に修復された部分で被害が目立った一方で、築城当初に造られた石垣のほとんどは地震に耐えていたことがわかったのだ。400年前のサムライは“地震に強い城”をどう造り上げたのか。私たちは、最新科学と歴史検証で知られざる“ミステリー”に迫ることにした。一方、「サムライの英知」を未来へとつなぐ再建。そこには大きな壁が立ちはだかっている。余震が相次ぐ中で石垣がふくらみ出し、新たな崩壊の危機が高まっているのだ。文化財の価値を守りながら、どう耐震性を高めるのか、模索が続く。熊本地震から1年、熊本城に隠されていたサムライの英知に迫ると共に、戦後最大の文化財被害からの再建に密着する。

(引用)NHKスペシャル | 熊本城 再建 “サムライの英知”を未来へ
(Evernote) https://www.evernote.com/shard/s380/sh/5d737c9f-a222-4f0e-ad67-b11d5e78d0ce/0c8c63f08b6bd9658c9ea620f81baeb6

 

近代のコンクリート派生による建材を利用した工法では実現不可能な、
400年という対応年数を耐える石垣も「孕み」に対しての対策が問題になっているとしています。

NHK番組内では「孕み」の症状は今に始まった事ではなく、
歴代城主もその対応に追われ、修復や補修・増築などで乗り切ってきた歴史が紹介されました。

熊本城の「二様の石垣」もその工事の一環として、
石垣の孕みをさらに横から支える石垣で押さえるための補修工事であったとされます。

 

素材ゆえの長寿命を誇る石垣と、石積み工法の弱さを改善した工法が生み出され、
そうした工法が城郭建築の修繕に取り入れられると共に見直され、
今後、建築基準法などでも利用が可能になってくると面白いなと思う昨今です。

現在は2m超える擁壁に関しては、
単純な石積みによる工法は認められていませんが、
間詰め石を「コンクリートを用いて裏込め」とするなど一定の要件では施工は可能になっています。

まぁここで結局コンクリートを使ってしまっては、
50年ももたない石垣になってしまうのが悩ましい所ではありますが。。。

(工作物への準用)
第八十八条  煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物で政令で指定するもの及び昇降機、ウォーターシュート、飛行塔その他これらに類する工作物で政令で指定するもの(以下この項において「昇降機等」という。)については、第三条、第六条(第三項、第五項及び第六項を除くものとし、第一項及び第四項は、昇降機等については第一項第一号から第三号までの建築物に係る部分、その他のものについては同項第四号の建築物に係る部分に限る。)、第六条の二(第三項を除く。)、第六条の四(第一項第一号及び第二号の建築物に係る部分に限る。)、第七条から第七条の四まで、第七条の五(第六条の四第一項第一号及び第二号の建築物に係る部分に限る。)、第八条から第十一条まで、第十二条第五項(第三号を除く。)及び第六項から第九項まで、第十三条、第十五条の二、第十八条(第四項から第十三項まで及び第二十四項を除く。)、第二十条、第二十八条の二(同条各号に掲げる基準のうち政令で定めるものに係る部分に限る。)、第三十二条、第三十三条、第三十四条第一項、第三十六条(避雷設備及び昇降機に係る部分に限る。)、第三十七条、第三十八条、第四十条、第三章の二(第六十八条の二十第二項については、同項に規定する建築物以外の認証型式部材等に係る部分に限る。)、第八十六条の七第一項(第二十八条の二(第八十六条の七第一項の政令で定める基準に係る部分に限る。)に係る部分に限る。)、第八十六条の七第二項(第二十条に係る部分に限る。)、第八十六条の七第三項(第三十二条、第三十四条第一項及び第三十六条(昇降機に係る部分に限る。)に係る部分に限る。)、前条、次条並びに第九十条の規定を、昇降機等については、第七条の六、第十二条第一項から第四項まで、第十二条の二、第十二条の三及び第十八条第二十四項の規定を準用する。この場合において、第二十条第一項中「次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める基準」とあるのは、「政令で定める技術的基準」と読み替えるものとする。
2  製造施設、貯蔵施設、遊戯施設等の工作物で政令で指定するものについては、第三条、第六条(第三項、第五項及び第六項を除くものとし、第一項及び第四項は、第一項第一号から第三号までの建築物に係る部分に限る。)、第六条の二(第三項を除く。)、第七条、第七条の二、第七条の六から第九条の三まで、第十一条、第十二条第五項(第三号を除く。)及び第六項から第九項まで、第十三条、第十五条の二、第十八条(第四項から第十三項まで及び第十九項から第二十三項までを除く。)、第四十八条から第五十一条まで、第六十条の二第三項、第六十条の三第三項、第六十八条の二第一項及び第五項、第六十八条の三第六項から第九項まで、第八十六条の七第一項(第四十八条第一項から第十三項まで及び第五十一条に係る部分に限る。)、第八十七条第二項(第四十八条第一項から第十三項まで、第四十九条から第五十一条まで、第六十条の二第三項、第六十条の三第三項並びに第六十八条の二第一項及び第五項に係る部分に限る。)、第八十七条第三項(第四十八条第一項から第十三項まで、第四十九条から第五十一条まで及び第六十八条の二第一項に係る部分に限る。)、前条、次条、第九十一条、第九十二条の二並びに第九十三条の二の規定を準用する。この場合において、第六条第二項及び別表第二中「床面積の合計」とあるのは「築造面積」と、第六十八条の二第一項中「敷地、構造、建築設備又は用途」とあるのは「用途」と読み替えるものとする。
3  第三条、第八条から第十一条まで、第十二条(第五項第三号を除く。)、第十二条の二、第十二条の三、第十三条、第十五条の二並びに第十八条第一項及び第二十五項の規定は、第六十六条に規定する工作物について準用する。
4  第一項中第六条から第七条の五まで、第十八条(第一項及び第二十五項を除く。)及び次条に係る部分は、宅地造成等規制法 (昭和三十六年法律第百九十一号)第八条第一項 本文若しくは第十二条第一項 、都市計画法第二十九条第一項 若しくは第二項 若しくは第三十五条の二第一項 本文又は津波防災地域づくりに関する法律 (平成二十三年法律第百二十三号)第七十三条第一項 若しくは第七十八条第一項 の規定による許可を受けなければならない場合の擁壁については、適用しない。

(中略)

第二章 建築物の敷地、構造及び建築設備

(敷地の衛生及び安全)
第十九条  建築物の敷地は、これに接する道の境より高くなければならず、建築物の地盤面は、これに接する周囲の土地より高くなければならない。ただし、敷地内の排水に支障がない場合又は建築物の用途により防湿の必要がない場合においては、この限りでない。
2  湿潤な土地、出水のおそれの多い土地又はごみその他これに類する物で埋め立てられた土地に建築物を建築する場合においては、盛土、地盤の改良その他衛生上又は安全上必要な措置を講じなければならない。
3  建築物の敷地には、雨水及び汚水を排出し、又は処理するための適当な下水管、下水溝又はためますその他これらに類する施設をしなければならない。
4  建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない。

(抜粋引用)建築基準法

施行令では以下のように定義されています。

(工作物の指定)
第百三十八条  煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物で法第八十八条第一項 の規定により政令で指定するものは、次に掲げるもの(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関するものその他他の法令の規定により法及びこれに基づく命令の規定による規制と同等の規制を受けるものとして国土交通大臣が指定するものを除く。)とする。
一  高さが六メートルを超える煙突(支枠及び支線がある場合においては、これらを含み、ストーブの煙突を除く。)
二  高さが十五メートルを超える鉄筋コンクリート造の柱、鉄柱、木柱その他これらに類するもの(旗ざおを除く。)
三  高さが四メートルを超える広告塔、広告板、装飾塔、記念塔その他これらに類するもの
四  高さが八メートルを超える高架水槽、サイロ、物見塔その他これらに類するもの
五  高さが二メートルを超える擁壁

(抜粋引用)建築基準法施行令

以下参考

建築基準法施行令(昭和二十五年十一月十六日政令第三百三十八号) 「第百四十二条」

(擁壁)
第百四十二条  第百三十八条第一項に規定する工作物のうち同項第五号に掲げる擁壁(以下この条において単に「擁壁」という。)に関する法第八十八条第一項 において読み替えて準用する法第二十条第一項 の政令で定める技術的基準は、次に掲げる基準に適合する構造方法又はこれと同等以上に擁壁の破壊及び転倒を防止することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いることとする。
一  鉄筋コンクリート造、石造その他これらに類する腐食しない材料を用いた構造とすること。
二  石造の擁壁にあつては、コンクリートを用いて裏込めし、石と石とを十分に結合すること。
三  擁壁の裏面の排水を良くするため、水抜穴を設け、かつ、擁壁の裏面の水抜穴の周辺に砂利その他これに類するものを詰めること。
四  次項において準用する規定(第七章の八(第百三十六条の六を除く。)の規定を除く。)に適合する構造方法を用いること。
五  その用いる構造方法が、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて確かめられる安全性を有すること。
2  擁壁については、第三十六条の三、第三十七条、第三十八条、第三十九条第一項及び第二項、第五十一条第一項、第六十二条、第七十一条第一項、第七十二条、第七十三条第一項、第七十四条、第七十五条、第七十九条、第八十条(第五十一条第一項、第六十二条、第七十一条第一項、第七十二条、第七十四条及び第七十五条の準用に関する部分に限る。)、第八十条の二並びに第七章の八(第百三十六条の六を除く。)の規定を準用する。

(引用)建築基準法施行令(昭和二十五年十一月十六日政令第三百三十八号) 「第百四十二条」

 

姫路城に関してはレーザーなどを用いた石垣調査などが行われ危険度などが調べられていたと記憶しています。
また石垣に使われている石の位置なども記録し、何かあった際の復旧の資料も作成されているようです。

2016/6/22 07:01 神戸新聞NEXT

(前略)姫路城は相次ぐ崩落を受け、2003年度から5年がかりで906カ所のカルテを作成した。積み方の特徴や傾き、石の種類などを記録し、別に崩落の危険度なども調べた。

カルテは金沢城や松本城など各地に普及し、文化庁は2年前、石垣整備の手引書に作成モデルを盛り込んだ。

熊本市は本年度、カルテ作りに着手する予定だった。同市熊本城調査研究センターの担当者は「写真などの手掛かりを探すが、全てそろえるのは難しい。推測で復元できるのだろうか」と漏らす。

(抜粋・引用)神戸新聞NEXT|社会|「石垣カルテ」地震で脚光 姫路城は07年作成
(Evernote)https://www.evernote.com/shard/s380/sh/bd4c4524-f46a-44f7-a010-25ed85ee751b/2b38f17e8ef68d2c7493e0bb2babe6d1

 

文化財の保護と安全性の確保、本当に難しい問題だと感じます。
当サイトでは以前、腹切丸周辺の石垣の痛みが激しいというご紹介をしました。

既に上に重要文化財が載っている石垣を修復する事の困難さは並大抵のことではないと感じます。

 


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 - 04.雑談

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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