『連立式天守(天守丸)』|村翁夜話集所収姫路城門櫓明細書|第一冊・村翁夜話集
「村翁夜話集」は播磨地方の郷土史で近世播磨の地域社会を知る上で欠かせない
基礎的な情報を提供してくれる書物であると言われます。
しかしながら平文で多くの櫓が書かれ、どの部分を示して書いているのかが、
パッと見で分かりにくいという問題があると共に、現在の呼名とは異なっている事が多くあります。
ここでは『連立式天守(天守丸)』の部分を抜粋してご紹介します。
『連立式天守(天守丸)』|村翁夜話集所収姫路城門櫓明細書|第一冊・村翁夜話集
「村翁夜話集」では以下のように書かれています。
管理 | 現存 | 現名称 | 重層 | 村翁夜話名 | 村翁夜話集原文 | エリア | 桁行 | 桁行(m:参考) | 梁行 | 梁行(m:参考) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 現存 | 大天守 | 7重 | 御天守 | 倉の間共七重 〇御天守初重 桁行拾五間三尺八寸、梁行拾一間半、 | 天守丸 | 十五間三尺八寸 | 28.4 | 十五間三尺八寸 | 28.4 | 地階を「倉の間」と呼称の模様 |
10 | 現存 | 台所櫓 | - | - | (記述なし) | 天守丸 | - | 0.0 | - | 0.0 | 「天守附り台所」に関する表記なし。 |
2 | 現存 | イの渡櫓(国宝) | 2重 | 渡御櫓 | 二重 御天守ヨリ丑寅ノ方小天守迄渡御櫓 桁行五間四尺五寸、梁行三間、 | 天守丸 | 五間四尺五寸 | 10.5 | 三間 | 5.5 | - |
3 | 現存 | 東小天守 | 3重 | 小天守 | 三重 同丑寅ノ方小天守 桁行三間半、梁行三間、 | 天守丸 | 三間半 | 6.4 | 三間 | 5.5 | - |
4 | 現存 | ロの渡櫓(国宝) | 2重 | 渡御櫓 | 二重 同所ヨリ戌亥ノ方小天守迄渡御櫓 桁行十四間五尺一寸、梁行三間、 | 天守丸 | 十四間五尺一寸 | 27.0 | 三間 | 5.5 | - |
5 | 現存 | 乾小天守 | 3重 | 小天守 | 三重 同戌亥ノ方小天守 桁行五間一尺七寸、梁行五間、 | 天守丸 | 五間一尺七寸 | 9.6 | 五間 | 9.1 | - |
6 | 現存 | ハの渡櫓(国宝) | 2重 | 渡御櫓 | 二重 同所ヨリ南ノ方小天守迄渡御櫓 桁行四間二尺四寸、梁行三間、 | 天守丸 | 四間二尺四寸 | 8.0 | 三間 | 5.5 | - |
7 | 現存 | 西小天守 | 3重 | 小天守 | 三重 同南ノ方小天守 桁行四間二尺、梁行四間、 | 天守丸 | 四間二尺 | 7.9 | 四間 | 7.3 | - |
8 | 現存 | 水の六門 | - | 水ノ六御門 | 同下タ水ノ六御門 桁行二間、明キ七尺、 | 天守丸 | 二間 | 3.6 | - | 0.0 | - |
9 | 現存 | 二の渡櫓(国宝) | - | - | (記述なし) | 天守丸 | - | 0.0 | - | 0.0 | 「水ノ五御門」に含む渡櫓表記なし。 |
11 | 現存 | 水の五門 | - | 水ノ五御門 | 同外南ノ方水ノ五御門 桁行二間半、梁行二間、明キ七尺六寸、 | 天守丸 | 二間半 | 4.5 | 二間 | 3.6 | 「二の渡櫓(国宝)」は「水ノ御五門」として記載 |
※明キ:扉開口幅を示す。
※クヽリ:脇戸(潜戸・くぐりど)扉開口幅を示す。
※同断:同じこと
※廿間:二十間
※并:ひょう、へい、あわせる、ならぶ
※厩:うまや(廐)
本一覧は筆者の勉強・調査・後の検索を目的に作成したものであり、その正確性を保証するものではありません。
(出典・抜粋引用)第一冊 村翁夜話集所収「姫路城門櫓明細書」|播磨の地誌 福本勇次著『村翁夜話集』刊行会-平成27年1月25日発行
尚、上記一覧内の「桁行(m:参考)」「梁行(m:参考)」は一尺303mm換算として算出したものであり、イメージしやすくする為の参考値です。
また姫路城内では1間は六尺五寸とする説もあり、1間当たりの当時の寸法は明確ではありません。
昭和の大修理では実寸を元にした尺寸法を定めているようですが、その寸法が分かり次第、参考値を更新します。
現時点は参考値を表示しています。
「御塀」は村翁夜話集において長さ(間数)のみが表示され明確に壁の位置を示していません。
暫定的に対象と思われる壁を推測し割り当て、記載していいます。
「御壁」の現在呼称の壁に対する割り当ても、あくまでも参考とお考えください。
現在の姫路城で各櫓に付けられている名前は、その名称で「国重要文化財」の登録も既に行われています。
現在は重要文化財登録の名称で呼ぶのが、正しい呼び方になるものと思っています。
当サイト管理者は「旧名」で呼ぶことや過去の錯誤を無くすことがしたい訳ではありません。
過去文献の調査時に過去名が必要な場合がある為にご紹介をしているに過ぎません。
「村翁夜話集」の記述を順に古地図に当てはめていくと、以下のように解釈できます。
※画像は姫路城・西の丸百間廊下内展示の「播州姫路城図(大絵図)」を撮影。
『天守丸』原文抜粋
以下にこの部分の原文抜粋を記載しておきますので、
別途利用される際に、引用されると便利かもしれません。
「第一冊・村翁夜話集|播磨の地誌 福本勇次著『村翁夜話集』刊行会-平成27年1月25日発行」の記載は必須です。
可能であれば、このURLへの発リンクを頂けますとありがたく存じます。
倉の間共七重 〇御天守初重 桁行拾五間三尺八寸、梁行拾一間半、
二重 御天守ヨリ丑寅ノ方小天守迄渡御櫓 桁行五間四尺五寸、梁行三間、
三重 同丑寅ノ方小天守 桁行三間半、梁行三間、
二重 同所ヨリ戌亥ノ方小天守迄渡御櫓 桁行十四間五尺一寸、梁行三間、
三重 同戌亥ノ方小天守 桁行五間一尺七寸、梁行五間、
二重 同所ヨリ南ノ方小天守迄渡御櫓 桁行四間二尺四寸、梁行三間、
三重 同南ノ方小天守 桁行四間二尺、梁行四間、
同下タ水ノ六御門 桁行二間、明キ七尺、
同外南ノ方水ノ五御門 桁行二間半、梁行二間、明キ七尺六寸、(引用抜粋)第一冊・村翁夜話集|播磨の地誌 福本勇次著『村翁夜話集』刊行会-平成27年1月25日発行
尚、その他のエリアは以下でご確認いただけます。
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公開日:
最終更新日:2018/02/18