『三の丸(御作事)』|村翁夜話集所収姫路城門櫓明細書|第一冊・村翁夜話集
「村翁夜話集」は播磨地方の郷土史で近世播磨の地域社会を知る上で欠かせない
基礎的な情報を提供してくれる書物であると言われます。
しかしながら平文で多くの櫓が書かれ、どの部分を示して書いているのかが、
パッと見で分かりにくいという問題があると共に、現在の呼名とは異なっている事が多くあります。
ここでは『三の丸(御作事)』の部分を抜粋してご紹介します。
『三の丸(御作事)』|村翁夜話集所収姫路城門櫓明細書|第一冊・村翁夜話集
「村翁夜話集」の記述を順に古地図に当てはめていくと、以下のように解釈できます。
※画像は姫路城・西の丸百間廊下内展示の「播州姫路城図(大絵図)」を撮影。
「村翁夜話集」では以下のように書かれています。
管理 | 現存 | 現名称 | 重層 | 村翁夜話名 | 村翁夜話集原文 | エリア | 桁行 | 桁行(m:参考) | 梁行 | 梁行(m:参考) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
187 | 消失(跡) | - | - | 御作事入口御門 | 〇御作事入口御門 桁行弐間半、明キ七尺五寸、 | 三の丸(御作事) | 二間半 | 4.5 | - | 0.0 | 明治7年(1874)兵営設置、姫路空襲(1945)等により撤去・消失。 |
188 | 消失(跡) | - | - | 御塀 | 同所御塀百拾七間一尺、但入口御門左右并東南折廻とも、 | 三の丸(御作事) | 百十七間一尺 | 213.0 | - | 0.0 | 明治7年(1874)兵営設置、姫路空襲(1945)等により撤去・消失。 |
189 | 消失(跡) | - | - | 絵図御門 | 〇絵図御門 桁行八間、梁行三間弐尺五寸、明キ一丈九寸、クヽリ明キ三尺九寸、 | 三の丸(御作事) | 八間 | 14.5 | 三間二尺五寸 | 6.2 | 明治7年(1874)兵営設置、姫路空襲(1945)等により撤去・消失。 |
190 | 消失(跡) | - | - | うノ御櫓 | 同続東方うノ御櫓 桁行五間弐尺、梁行三間弐尺、 | 三の丸(御作事) | 五間二尺 | 9.7 | 三間二尺 | 6.1 | 明治7年(1874)兵営設置、姫路空襲(1945)等により撤去・消失。 |
191 | 消失(跡) | - | - | 御多門 | 同続南方御多門 桁行五間弐尺、梁行弐間半、 | 三の丸(御作事) | 五間二尺 | 9.7 | 二間半 | 4.5 | 明治7年(1874)兵営設置、姫路空襲(1945)等により撤去・消失。 |
192 | 消失(跡) | - | - | 御多門 | 右同断、 桁行四間半、梁行四間、 | 三の丸(御作事) | 四間半 | 8.2 | 四間 | 7.3 | 明治7年(1874)兵営設置、姫路空襲(1945)等により撤去・消失。 |
193 | 消失(跡) | - | - | 御番所 | 同断御番所 桁行七間半、梁行弐間、 | 三の丸(御作事) | 七間半 | 13.6 | 二間 | 3.6 | 明治7年(1874)兵営設置、姫路空襲(1945)等により撤去・消失。 |
194 | 消失(跡) | - | - | 冠木御門 | 同所冠木御門 桁行三間半、袖ノ間壱間弐尺、明キ一丈六尺、クヽリ明キ四尺六寸、 | 三の丸(御作事) | 三間半 | 6.4 | - | 0.0 | 明治7年(1874)兵営設置、姫路空襲(1945)等により撤去・消失。 |
195 | 消失(跡) | - | - | 御番所 | 同所御番所 桁行四間、梁行弐間、 | 三の丸(御作事) | 四間 | 7.3 | 二間 | 3.6 | 明治7年(1874)兵営設置、姫路空襲(1945)等により撤去・消失。 |
196 | 消失(跡) | - | - | 御塀 | 同所内外御塀 五拾三間半、 | 三の丸(御作事) | 五十三間半 | 97.3 | - | 0.0 | 明治7年(1874)兵営設置、姫路空襲(1945)等により撤去・消失。 |
197 | 消失(跡) | - | - | 腰掛 | 同所内外腰掛 桁行八間、梁行二間、 | 三の丸(御作事) | 八間 | 14.5 | 二間 | 3.6 | 明治7年(1874)兵営設置、姫路空襲(1945)等により撤去・消失。 |
※明キ:扉開口幅を示す。
※クヽリ:脇戸(潜戸・くぐりど)扉開口幅を示す。
※同断:同じこと
※廿間:二十間
※并:ひょう、へい、あわせる、ならぶ
※厩:うまや(廐)
本一覧は筆者の勉強・調査・後の検索を目的に作成したものであり、その正確性を保証するものではありません。
(出典・抜粋引用)第一冊 村翁夜話集所収「姫路城門櫓明細書」|播磨の地誌 福本勇次著『村翁夜話集』刊行会-平成27年1月25日発行
尚、上記一覧内の「桁行(m:参考)」「梁行(m:参考)」は一尺303mm換算として算出したものであり、イメージしやすくする為の参考値です。
また姫路城内では1間は六尺五寸とする説もあり、1間当たりの当時の寸法は明確ではありません。
昭和の大修理では実寸を元にした尺寸法を定めているようですが、その寸法が分かり次第、参考値を更新します。
現時点は参考値を表示しています。
「御塀」は村翁夜話集において長さ(間数)のみが表示され明確に壁の位置を示していません。
暫定的に対象と思われる壁を推測し割り当て、記載していいます。
「御壁」の現在呼称の壁に対する割り当ても、あくまでも参考とお考えください。
現在の姫路城で各櫓に付けられている名前は、その名称で「国重要文化財」の登録も既に行われています。
現在は重要文化財登録の名称で呼ぶのが、正しい呼び方になるものと思っています。
当サイト管理者は「旧名」で呼ぶことや過去の錯誤を無くすことがしたい訳ではありません。
過去文献の調査時に過去名が必要な場合がある為にご紹介をしているに過ぎません。
『三の丸(御作事)』原文抜粋
以下にこの部分の原文抜粋を記載しておきますので、
別途利用される際に、引用されると便利かもしれません。
「第一冊・村翁夜話集|播磨の地誌 福本勇次著『村翁夜話集』刊行会-平成27年1月25日発行」の記載は必須です。
可能であれば、このURLへの発リンクを頂けますとありがたく存じます。
〇御作事入口御門 桁行弐間半、明キ七尺五寸、
同所御塀百拾七間一尺、但入口御門左右并東南折廻とも、
〇絵図御門 桁行八間、梁行三間弐尺五寸、明キ一丈九寸、クヽリ明キ三尺九寸、
同続東方うノ御櫓 桁行五間弐尺、梁行三間弐尺、
同続南方御多門 桁行五間弐尺、梁行弐間半、
右同断、 桁行四間半、梁行四間、
同断御番所 桁行七間半、梁行弐間、
同所冠木御門 桁行三間半、袖ノ間壱間弐尺、明キ一丈六尺、クヽリ明キ四尺六寸、
同所御番所 桁行四間、梁行弐間、
同所内外御塀 五拾三間半、
同所内外腰掛 桁行八間、梁行二間、(引用抜粋)第一冊・村翁夜話集|播磨の地誌 福本勇次著『村翁夜話集』刊行会-平成27年1月25日発行
尚、その他のエリアは以下でご確認いただけます。
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公開日:
最終更新日:2018/02/18