『二の丸』|村翁夜話集所収姫路城門櫓明細書|第一冊・村翁夜話集
「村翁夜話集」は播磨地方の郷土史で近世播磨の地域社会を知る上で欠かせない
基礎的な情報を提供してくれる書物であると言われます。
しかしながら平文で多くの櫓が書かれ、どの部分を示して書いているのかが、
パッと見で分かりにくいという問題があると共に、現在の呼名とは異なっている事が多くあります。
ここでは 『二の丸』の部分を抜粋してご紹介します。
『二の丸』|村翁夜話集所収姫路城門櫓明細書|第一冊・村翁夜話集
「村翁夜話集」では以下のように書かれています。
管理 | 現存 | 現名称 | 重層 | 村翁夜話名 | 村翁夜話集原文 | エリア | 桁行 | 桁行(m:参考) | 梁行 | 梁行(m:参考) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
42 | 現存 | 菱の門 | - | 菱ノ御門 | 〇菱ノ御門 桁行十間半、梁行四間、明キ一丈三尺、クヽリ明キ三尺九寸、 | 二の丸 | 十間半 | 13.6 | 四間 | 7.3 | - |
43 | 現存 | 菱の門東方土塀,菱の門西方土塀 | - | 御塀 | 同所左右御塀三拾七間、 | 二の丸 | 三十七間 | 67.3 | - | 0.0 | - |
536 | 現存 | 菱の門西方土塀 | - | 御塀より分割 | (御塀として記載) | 二の丸 | - | 0.0 | - | 0.0 | 「村:御多門(43)」に他の塀と合わせて記載。 |
538 | 現存 | 菱の門東方土塀 | - | 御塀より分割 | (御塀として記載) | 二の丸 | - | 0.0 | - | 0.0 | 「村:御多門(43)」に他の塀と合わせて記載。 |
44 | 現存 | いの門 | - | いノ冠木御門 | 菱ノ御門内北ノ方 〇いノ冠木御門 桁行三間四尺、袖ノ間一間一尺五寸、明キ一丈五寸、クヽリ四尺、 | 二の丸 | 三間四尺 | 6.7 | - | 0.0 | - |
45 | 現存 | いの門東方土塀(一部) | - | 御塀 | 同所東ノ御塀弐拾八間、 | 二の丸 | 二十八間 | 50.9 | - | 0.0 | - |
539 | 現存 | いの門東方土塀 | - | 御塀より分割 | (御塀として記載) | 二の丸 | - | 0.0 | - | 0.0 | 「村:御多門(45,96)」に他の塀と合わせて記載。 |
46 | 消失(跡) | - | - | 井戸屋形 | 同所井戸屋形 壱間半四方、 | 二の丸 | - | 0.0 | - | 0.0 | - |
47 | 現存 | ろの門 | - | ろノ冠木御門 | いノ御門内北ノ方 〇ろノ冠木御門 桁行四間四尺六寸、袖ノ間一間弐尺、明キ一丈五寸、クヽリ四尺、 | 二の丸 | 四間四尺六寸 | 8.7 | - | 0.0 | - |
48 | 消失(跡) | - | - | 瓦蔵 | 同所西ノ方瓦蔵 桁行五間四尺、梁行弐間五尺七寸、 | 二の丸 | 五間四尺 | 10.3 | 二間五尺七寸 | 5.4 | - |
49 | 現存 | ろの門西南方土塀(一部),ろの門東方土塀,はの門南方土塀,はの門東方土塀 | - | 御塀 | 同所左右御塀七拾一間、但御門内北ノ方共二、 | 二の丸 | 七十一間 | 129.1 | - | 0.0 | - |
528 | 現存 | はの門東方土塀 | - | 御塀より分割 | (御塀として記載) | 二の丸 | - | 0.0 | - | 0.0 | 「村:御多門(49,56)」に他の塀と合わせて記載。 |
530 | 現存 | はの門南方土塀 | - | 御塀より分割 | (御塀として記載) | 二の丸 | - | 0.0 | - | 0.0 | 「村:御多門(49)」に他の塀と合わせて記載。 |
531 | 現存 | ろの門東方土塀 | - | 御塀より分割 | (御塀として記載) | 二の丸 | - | 0.0 | - | 0.0 | 「村:御多門(49)」に他の塀と合わせて記載。 |
532 | 現存 | ろの門西南方土塀 | - | 御塀より分割 | (御塀として記載) | 二の丸 | - | 0.0 | - | 0.0 | 「村:御多門(49,116)」に他の塀と合わせて記載。 |
93 | 消失(跡) | るの門 | - | るノ冠木御門 | ぬノ御門外西ノ方 〇るノ冠木御門 桁行五尺七寸、明キ三尺七寸、 | 二の丸 | 五尺七寸 | 1.7 | - | 0.0 | - |
94 | 消失(跡) | をの門跡 | - | をノ冠木御門 | 同所北ノ方をノ冠木御門 桁行弐間、袖ノ間一尺一寸、明キ八尺、 | 二の丸 | 二間 | 3.6 | - | 0.0 | 明治15年2月1日失火により消失。 |
95 | 消失(跡) | をの門跡 | - | りノ御櫓 | 同所西ノ方りノ御櫓 桁行四間四尺五寸、梁行弐間六寸、 | 二の丸 | 四間四尺五寸 | 8.6 | 二間六寸 | 3.8 | 明治15年2月1日失火により消失。 |
96 | 現存 | いの門東方土塀(一部) | - | 折廻御塀 | 同所西ノ方折廻御塀 弐拾四間一尺五寸、 | 二の丸 | 二十四間一尺五寸 | 44.1 | - | 0.0 | - |
※明キ:扉開口幅を示す。
※クヽリ:脇戸(潜戸・くぐりど)扉開口幅を示す。
※同断:同じこと
※廿間:二十間
※并:ひょう、へい、あわせる、ならぶ
※厩:うまや(廐)
本一覧は筆者の勉強・調査・後の検索を目的に作成したものであり、その正確性を保証するものではありません。
(出典・抜粋引用)第一冊 村翁夜話集所収「姫路城門櫓明細書」|播磨の地誌 福本勇次著『村翁夜話集』刊行会-平成27年1月25日発行
尚、上記一覧内の「桁行(m:参考)」「梁行(m:参考)」は一尺303mm換算として算出したものであり、イメージしやすくする為の参考値です。
また姫路城内では1間は六尺五寸とする説もあり、1間当たりの当時の寸法は明確ではありません。
昭和の大修理では実寸を元にした尺寸法を定めているようですが、その寸法が分かり次第、参考値を更新します。
現時点は参考値を表示しています。
「御塀」は村翁夜話集において長さ(間数)のみが表示され明確に壁の位置を示していません。
暫定的に対象と思われる壁を推測し割り当て、記載していいます。
「御壁」の現在呼称の壁に対する割り当ても、あくまでも参考とお考えください。
現在の姫路城で各櫓に付けられている名前は、その名称で「国重要文化財」の登録も既に行われています。
現在は重要文化財登録の名称で呼ぶのが、正しい呼び方になるものと思っています。
当サイト管理者は「旧名」で呼ぶことや過去の錯誤を無くすことがしたい訳ではありません。
過去文献の調査時に過去名が必要な場合がある為にご紹介をしているに過ぎません。
「村翁夜話集」の記述を順に古地図に当てはめていくと、以下のように解釈できます。
記述は2回に分かれて記述されています。(上道側)
外道側も書かれています。
※画像は姫路城・西の丸百間廊下内展示の「播州姫路城図(大絵図)」を撮影。
『二の丸』原文抜粋
以下にこの部分の原文抜粋を記載しておきますので、
別途利用される際に、引用されると便利かもしれません。
「第一冊・村翁夜話集|播磨の地誌 福本勇次著『村翁夜話集』刊行会-平成27年1月25日発行」の記載は必須です。
可能であれば、このURLへの発リンクを頂けますとありがたく存じます。
上道側は以下のように書かれています。
〇菱ノ御門 桁行十間半、梁行四間、明キ一丈三尺、クヽリ明キ三尺九寸、
同所左右御塀三拾七間、菱ノ御門内北ノ方 〇いノ冠木御門 桁行三間四尺、袖ノ間一間一尺五寸、明キ一丈五寸、クヽリ四尺、
同所東ノ御塀弐拾八間、
同所井戸屋形 一間半四方、いノ御門内北ノ方 〇ろノ冠木御門 桁行四間四尺六寸、袖ノ間一間弐尺、明キ一丈五寸、クヽリ四尺、
同所西ノ方瓦蔵 桁行五間四尺、梁行弐間五尺七寸、
同所左右御塀七拾一間、但御門内北ノ方共二、(引用抜粋)第一冊・村翁夜話集|播磨の地誌 福本勇次著『村翁夜話集』刊行会-平成27年1月25日発行
また外道側は以下のように書かれています。
ぬノ御門外西ノ方 〇るノ冠木御門 桁行五尺七寸、明キ三尺七寸、
同所北ノ方をノ冠木御門 桁行弐間、袖ノ間一尺一寸、明キ八尺、
同所西ノ方りノ御櫓 桁行四間四尺五寸、梁行弐間六寸、
同所西ノ方折廻御塀 弐拾四間一尺五寸、(引用抜粋)第一冊・村翁夜話集|播磨の地誌 福本勇次著『村翁夜話集』刊行会-平成27年1月25日発行
尚、その他のエリアは以下でご確認いただけます。
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公開日:
最終更新日:2018/02/18