『上山里曲輪(お菊井戸周辺)』|村翁夜話集所収姫路城門櫓明細書|第一冊・村翁夜話集
「村翁夜話集」は播磨地方の郷土史で近世播磨の地域社会を知る上で欠かせない
基礎的な情報を提供してくれる書物であると言われます。
しかしながら平文で多くの櫓が書かれ、どの部分を示して書いているのかが、
パッと見で分かりにくいという問題があると共に、現在の呼名とは異なっている事が多くあります。
ここでは『上山里曲輪(お菊井戸周辺)』の部分を抜粋してご紹介します。
『上山里曲輪(お菊井戸周辺)』|村翁夜話集所収姫路城門櫓明細書|第一冊・村翁夜話集
「村翁夜話集」では以下のように書かれています。
管理 | 現存 | 現名称 | 重層 | 村翁夜話名 | 村翁夜話集原文 | エリア | 桁行 | 桁行(m:参考) | 梁行 | 梁行(m:参考) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
80 | 現存 | 太鼓櫓(への櫓) | 1重 | へノ御櫓 | 一重 同所西ノ方へノ御櫓 桁行五間、梁行弐間四尺五寸、 | 上山里曲輪 | 五間 | 9.1 | 二間四尺五寸 | 5.0 | - |
81 | 現存 | 太鼓櫓(への櫓) | - | 曲家 | 同続東ノ方曲家 桁行五間、梁行弐間、 | 上山里曲輪 | 五間 | 9.1 | 二間 | 3.6 | - |
82 | 現存 | りの門 | - | りノ冠木御門 | 同続北ノ方りノ冠木御門 桁行弐間四尺、袖間壱間、明キ八尺弐寸、クヽリ三尺二寸、 | 上山里曲輪 | 二間四尺 | 4.8 | - | 0.0 | - |
83 | 現存 | 太鼓櫓北方土塀,太鼓櫓南方土塀 | - | 御塀 | 同所東ノ方御塀 拾六間、 | 上山里曲輪 | 十六間 | 29.1 | - | 0.0 | - |
84 | 置換(復旧以外の再建) | 太鼓櫓南方土塀 | - | 御多門 | りノ御門外 〇上山里東方御多門 桁行七間一尺五寸、梁行三間五尺、 | 上山里曲輪 | 七間一尺五寸 | 13.2 | 三間五尺 | 7.0 | - |
85 | 置換(復旧以外の再建) | 太鼓櫓南方土塀 | - | 御多門 | 同続南方とノ御櫓迄御多門 桁行拾五間、梁行三間、 | 上山里曲輪 | 十五間 | 27.3 | 三間 | 5.5 | - |
86 | 置換(復旧以外の再建) | 太鼓櫓南方土塀 | 2重 | とノ御櫓 | 二重 同とノ御櫓 桁行四間半、梁行三間 弐尺六寸、 | 上山里曲輪 | 四間半 | 8.2 | 三間二尺六寸 | 6.2 | - |
87 | 置換(復旧以外の再建) | 太鼓櫓南方土塀 | - | 御多門 | 同続西ノ方御多門 桁行弐間一尺弐寸、梁行弐間二尺五寸、 | 上山里曲輪 | 二間一尺二寸 | 4.0 | 二間二尺五寸 | 4.4 | - |
88 | 置換(復旧以外の再建) | 太鼓櫓南方土塀 | - | 御多門 | 同続御多門 桁行五間四尺、梁行弐間一尺五寸、 | 上山里曲輪 | 五間四尺 | 10.3 | 二間一尺五寸 | 4.1 | - |
89 | 現存 | チの櫓 | 2重 | ちノ御櫓 | 二重 同所西方ちノ御櫓 桁行四間半、梁行三間半、 | 上山里曲輪 | 四間半 | 8.2 | 三間半 | 6.4 | - |
90 | 現存 | リの一渡櫓、リの二渡櫓、ぬの門 | - | 折廻渡御櫓 | 同続ぬノ御門迄折廻渡御櫓 桁行弐拾一間、梁行弐間五尺、 | 上山里曲輪 | 二十一間 | 38.2 | 二間五尺 | 5.2 | 「現:リの一渡櫓、リの二渡櫓」は「折廻渡櫓」と表記。 |
91 | 現存 | ぬの門 | - | ぬノ御門 | (記述なし) | 上山里曲輪 | - | 0.0 | - | 0.0 | 「ぬノ御門迄」の記述はあるが「ぬノ御門」の記述がない。「折廻渡御櫓」に含む扱いか。 |
92 | 現存 | 太鼓櫓南方土塀 | - | 御塀 | 同所々御塀 拾九間四尺、 | 上山里曲輪 | 十九間四尺 | 35.8 | - | 0.0 | - |
503 | 現存 | リの一渡櫓 | - | 折廻渡御櫓 | - | 上山里曲輪 | 二十一間 | 38.2 | 二間五尺 | 5.2 | 「村:折廻渡櫓(90)」として「現:リの一渡櫓、リの二渡櫓」を表記。 |
504 | 現存 | リの二渡櫓 | - | 折廻渡御櫓 | - | 上山里曲輪 | 二十一間 | 38.2 | 二間五尺 | 5.2 | 「村:折廻渡櫓(90)」として「現:リの一渡櫓、リの二渡櫓」を表記。 |
※明キ:扉開口幅を示す。
※クヽリ:脇戸(潜戸・くぐりど)扉開口幅を示す。
※同断:同じこと
※廿間:二十間
※并:ひょう、へい、あわせる、ならぶ
※厩:うまや(廐)
本一覧は筆者の勉強・調査・後の検索を目的に作成したものであり、その正確性を保証するものではありません。
(出典・抜粋引用)第一冊 村翁夜話集所収「姫路城門櫓明細書」|播磨の地誌 福本勇次著『村翁夜話集』刊行会-平成27年1月25日発行
尚、上記一覧内の「桁行(m:参考)」「梁行(m:参考)」は一尺303mm換算として算出したものであり、イメージしやすくする為の参考値です。
また姫路城内では1間は六尺五寸とする説もあり、1間当たりの当時の寸法は明確ではありません。
昭和の大修理では実寸を元にした尺寸法を定めているようですが、その寸法が分かり次第、参考値を更新します。
現時点は参考値を表示しています。
「御塀」は村翁夜話集において長さ(間数)のみが表示され明確に壁の位置を示していません。
暫定的に対象と思われる壁を推測し割り当て、記載していいます。
「御壁」の現在呼称の壁に対する割り当ても、あくまでも参考とお考えください。
現在の姫路城で各櫓に付けられている名前は、その名称で「国重要文化財」の登録も既に行われています。
現在は重要文化財登録の名称で呼ぶのが、正しい呼び方になるものと思っています。
当サイト管理者は「旧名」で呼ぶことや過去の錯誤を無くすことがしたい訳ではありません。
過去文献の調査時に過去名が必要な場合がある為にご紹介をしているに過ぎません。
「村翁夜話集」の記述を順に古地図に当てはめていくと、以下のように解釈できます。
※画像は姫路城・西の丸百間廊下内展示の「播州姫路城図(大絵図)」を撮影。
『上山里曲輪(お菊井戸周辺)』原文抜粋
以下にこの部分の原文抜粋を記載しておきますので、
別途利用される際に、引用されると便利かもしれません。
「第一冊・村翁夜話集|播磨の地誌 福本勇次著『村翁夜話集』刊行会-平成27年1月25日発行」の記載は必須です。
可能であれば、このURLへの発リンクを頂けますとありがたく存じます。
りノ御門外 〇上山里東方御多門 桁行七間一尺五寸、梁行三間五尺、
同続南方とノ御櫓迄御多門 桁行拾五間、梁行三間、
二重 同とノ御櫓 桁行四間半、梁行三間弐尺六寸、
同続西ノ方御多門 桁行弐間一尺弐寸、梁行弐間二尺五寸、
同続御多門 桁行五間四尺、梁行弐間一尺五寸、
二重 同所西方ちノ御櫓 桁行四間半、梁行三間半、
同続ぬノ御門迄折廻渡御櫓 桁行弐拾一間、梁行弐間五尺、
同所々御塀 拾九間四尺、(引用抜粋)第一冊・村翁夜話集|播磨の地誌 福本勇次著『村翁夜話集』刊行会-平成27年1月25日発行
尚、その他のエリアは以下でご確認いただけます。
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公開日:
最終更新日:2018/02/18