『乾曲輪』|村翁夜話集所収姫路城門櫓明細書|第一冊・村翁夜話集
「村翁夜話集」は播磨地方の郷土史で近世播磨の地域社会を知る上で欠かせない
基礎的な情報を提供してくれる書物であると言われます。
しかしながら平文で多くの櫓が書かれ、どの部分を示して書いているのかが、
パッと見で分かりにくいという問題があると共に、現在の呼名とは異なっている事が多くあります。
ここでは『乾曲輪』の部分を抜粋してご紹介します。
『乾曲輪』|村翁夜話集所収姫路城門櫓明細書|第一冊・村翁夜話集
「村翁夜話集」の記述を順に古地図に当てはめていくと、以下のように解釈できます。
※画像は姫路城・西の丸百間廊下内展示の「播州姫路城図(大絵図)」を撮影。
「村翁夜話集」では以下のように書かれています。
管理 | 現存 | 現名称 | 重層 | 村翁夜話名 | 村翁夜話集原文 | エリア | 桁行 | 桁行(m:参考) | 梁行 | 梁行(m:参考) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
50 | 現存 | はの門 | - | はノ御門 | ろノ御門北ノ方 〇はノ御門 桁行三間半、梁行一間弐尺五寸、明キ七尺五寸、クヽリ三尺一寸、 | 乾曲輪 | 三間半 | 6.4 | 一間二尺五寸 | 2.6 | - |
51 | 消失(跡) | - | - | 渡御櫓 | 同所西ノ方いノ御櫓迄渡御櫓 桁行六間、梁行三間、 | 乾曲輪 | 三間半 | 6.4 | 三間 | 5.5 | - |
52 | 消失(跡) | - | 2重 | いノ御櫓 | 二重 同いノ御櫓 桁行三間弐尺、梁行三間、 | 乾曲輪 | 三間二尺 | 6.1 | 三間 | 5.5 | - |
53 | 消失(跡) | - | - | 渡御櫓 | 同続東ノ方渡御櫓 桁行十五間、梁行三間一尺六寸、 | 乾曲輪 | 十五間 | 27.3 | 三間一尺六寸 | 5.9 | - |
54 | 現存 | ロの櫓 | - | 御多門 | 同所東ノ方御多門 桁行六間、梁行弐間一尺七寸、 | 乾曲輪 | 六間 | 10.9 | 二間一尺七寸 | 4.2 | - |
55 | 消失(跡) | - | - | 御土蔵 | 同所南ノ方御土蔵 桁行三間、梁行二間、 | 乾曲輪 | 三間 | 5.5 | 二間 | 3.6 | - |
56 | 現存 | はの門東方土塀(一部),はの門西方土塀,にの門東方下土塀,ロの櫓東方土塀,ロの櫓西方土塀 | - | 御塀 | 同所御塀三拾八間 但はノ御門東ノ方并北ノ方共二、 | 乾曲輪 | 三十八間 | 69.1 | - | 0.0 | - |
526 | 現存 | ロの櫓東方土塀 | - | 御塀より分割 | (御塀として記載) | 乾曲輪 | - | 0.0 | - | 0.0 | 「村:御多門(56)」に他の塀と合わせて記載。 |
527 | 現存 | ロの櫓西方土塀 | - | 御塀より分割 | (御塀として記載) | 乾曲輪 | - | 0.0 | - | 0.0 | 「村:御多門(56)」に他の塀と合わせて記載。 |
529 | 現存 | はの門西方土塀 | - | 御塀より分割 | (御塀として記載) | 乾曲輪 | - | 0.0 | - | 0.0 | 「村:御多門(56)」に他の塀と合わせて記載。 |
524 | 現存 | にの門東方上土塀 | - | 御塀より分割 | (記述なし) | 乾曲輪 | - | 0.0 | - | 0.0 | 西北腰曲輪全体の記述が見当たらない。 |
525 | 現存 | にの門東方下土塀 | - | 御塀より分割 | (記述なし) | 乾曲輪 | - | 0.0 | - | 0.0 | 西北腰曲輪全体の記述が見当たらない。 |
※明キ:扉開口幅を示す。
※クヽリ:脇戸(潜戸・くぐりど)扉開口幅を示す。
※同断:同じこと
※廿間:二十間
※并:ひょう、へい、あわせる、ならぶ
※厩:うまや(廐)
本一覧は筆者の勉強・調査・後の検索を目的に作成したものであり、その正確性を保証するものではありません。
(出典・抜粋引用)第一冊 村翁夜話集所収「姫路城門櫓明細書」|播磨の地誌 福本勇次著『村翁夜話集』刊行会-平成27年1月25日発行
尚、上記一覧内の「桁行(m:参考)」「梁行(m:参考)」は一尺303mm換算として算出したものであり、イメージしやすくする為の参考値です。
また姫路城内では1間は六尺五寸とする説もあり、1間当たりの当時の寸法は明確ではありません。
昭和の大修理では実寸を元にした尺寸法を定めているようですが、その寸法が分かり次第、参考値を更新します。
現時点は参考値を表示しています。
「御塀」は村翁夜話集において長さ(間数)のみが表示され明確に壁の位置を示していません。
暫定的に対象と思われる壁を推測し割り当て、記載していいます。
「御壁」の現在呼称の壁に対する割り当ても、あくまでも参考とお考えください。
現在の姫路城で各櫓に付けられている名前は、その名称で「国重要文化財」の登録も既に行われています。
現在は重要文化財登録の名称で呼ぶのが、正しい呼び方になるものと思っています。
当サイト管理者は「旧名」で呼ぶことや過去の錯誤を無くすことがしたい訳ではありません。
過去文献の調査時に過去名が必要な場合がある為にご紹介をしているに過ぎません。
『乾曲輪』原文抜粋
以下にこの部分の原文抜粋を記載しておきますので、
別途利用される際に、引用されると便利かもしれません。
「第一冊・村翁夜話集|播磨の地誌 福本勇次著『村翁夜話集』刊行会-平成27年1月25日発行」の記載は必須です。
可能であれば、このURLへの発リンクを頂けますとありがたく存じます。
ろノ御門北ノ方 〇はノ御門 桁行三間半、梁行一間弐尺五寸、明キ七尺五寸、クヽリ三尺一寸、
同所西ノ方いノ御櫓迄渡御櫓 桁行六間、梁行三間、
二重 同いノ御櫓 桁行三間弐尺、梁行三間、
同続東ノ方渡御櫓 桁行十五間、梁行三間一尺六寸、
同所東ノ方御多門 桁行六間、梁行弐間一尺七寸、
同所南ノ方御土蔵 桁行三間、梁行二間、
同所御塀三拾八間 但はノ御門東ノ方并北ノ方共二、(引用抜粋)第一冊・村翁夜話集|播磨の地誌 福本勇次著『村翁夜話集』刊行会-平成27年1月25日発行
尚、その他のエリアは以下でご確認いただけます。
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公開日:
最終更新日:2018/02/18