「ひこばえ」は踏まないで!と思ったけど・・・無残な姿に。いいの?(タイトル更新)
2018/03/16
姫路城の桜と言えば、市民の春の楽しみの一つで非常に多くの人がお花見を楽しんでいます。
そんな姫路城の桜。近くに寄って1本、1本を見てみると、かなりの樹齢があるように感じる事と思います。
「この桜、そろそろ植替えとかできないのかな?」そう思う人もいる事でしょう。
寿命を終えた桜の木から、順次、若い苗に更新を少しずつしていけば、
城内全体としてはずっと桜が楽しめるはずなのに・・・と思っても、
それができない事情があるのです。
桜の根元には新しい新芽が出ている場合があります。
その新芽を「蘖(ひこばえ)」と呼びますが、立入禁止になっていない箇所でも、
桜の根元から「蘖(ひこばえ)」が出ている場所があります。
姫路城の桜の「蘖(ひこばえ)」は非常に貴重な芽なのです。
将来、この桜がすべて失われる危機的状況にあります。
踏まないようにお連れさん達にも「そこ、新芽!」と声をかけ合って頂きたいと思います。
2018/3/16追記
と、書いていてなんなのですが、、、悲しい実態を目にしてしまいました。
本投稿の後半追記部へ
概要(見出し)
姫路城内の「桜」は桜の名所百選
まず、姫路城の桜は「桜の名所100選」に選ばれています。
日本中で100選ですので、ありがたいかどうかはともかくとして、名所なんです。
でもさ選定基準の「各都道府県から最低1か所を選ぶ」っていう配慮は要らないような・・・。
日本さくら名所100選(にほんさくらめいしょひゃくせん)は、1990年に公益財団法人日本さくらの会の創立25周年記念として選定、建設省、運輸省、環境庁、林野庁、全国知事会、財団法人国際花と緑の博覧会協会の後援によって行われたものである。各都道府県から最低1か所を選ぶなど、9つの選定基準によって選ばれた。
日本さくらの会のサイトは以下になります。
ちゃんと姫路城も登録されています。
姫路城の三の丸広場内には、あまり誰も見ていないというか、気づいていないのですが、
ちゃんと石碑も設置されています。
この桜の名所である姫路城ですが、実はかなり桜が弱っているようなのです。
本当なら、新しい苗などを植えて、世代交代をしていかないと、
一斉に寿命を迎えて、桜が楽しめなくなってしまうという状況にもなりかねないという危機的状況なのです。
標本木に指定されている桜が咲いた状態でこの状態です。
誰が見ても、もう「やっとやっと・・・」だと分かる事でしょう。
これ、一度抜いてしまうと「もう二度とここには桜が植えられない」のです。
だから、こんな状態でも、支えてなんとか頑張らせているという現状なのです。
理由があっての、延命処置を続けていると言う事です。
特別史跡(史跡名勝天然記念物)の「姫路城跡」
そんな桜の名所でもある姫路城内は、史跡名勝としての国宝にあたるとも言われる、
「特別史跡」に指定されているのです。
文化庁のデータベースの集計値を見る限りは、国内61カ所が指定されているのです。
分類別にみる 分類 史跡 (1697件) 名勝 (361件) 天然記念物 (942件) 特別史跡 (61件) 特別名勝 (36件) 特別天然記念物 (75件) (抜粋引用)国指定文化財等データベース:史跡名勝天然記念物
姫路城跡の貴重性に関しては以下のように登録の理由が書かれています。
姫路城跡
始め羽柴秀吉がここに城郭を営んだが、慶長5年池田輝政、播磨国に封ぜられ、同6年修造の工を起し、14年に竣功、姫路城の規模はここに成った。
以後、本多、松平、榊原、酒井等の諸氏が更替して明治維新に至ったが、その間本多忠政は西ノ丸の櫓又は多門を増築するところがあった。
姫山と鷺山とからなる丘陵に據り、これに麓の低地をとり入れて、営まれた城で、北、東、西の三面は急崖をなし、
南は稍々なだらかで、両山の間に浅く広い谷を開いている。
南を大手、東を搦手とし、西麓に沿うて南流する船場川が城地の西辺を限っている。姫山の頂上部に本丸を置き、その南から西にかけて低く二の丸を配し、その間、山腹に階段状に小郭を点綴せしめ、鷺山の高所には西ノ丸を設ける。
この一帶は城の中心部であって、谷をその入口にあてて菱の門を構え、内に三国堀を掘る。
この中心部を守って姫山の東麓から鷺山の南麓にかけて低く三ノ丸を、これにつづいて背部の山麓に沿うて帶状の勢隠を設けている。
この内部を土塁又は石垣をめぐらした略々梯形状の広い中郭を以て包み、更にその外部に外郭を設けている。本丸の北東麓に始まる内堀は螺旋状にめぐり、内郭を囲み、ついで転じて中堀となって中郭を一周し、その間外堀を派出する。
その構想は巧妙である而して三棟の小天守を從える五重の大天守を始めとして数多の櫓、門、塀等は、
三ノ丸を除いて略々旧態をその儘伝えて壮観であり、且つ塁々なる石垣は、
堅固な郭の配置巧妙な通路堀の布置と相俟って、防備の厳重さを示すに十分である。これと共に中郭の土塁、石垣、堀等もまた概ね、旧観をとどめていて、車門、埋門、雕門等の如きは枡形の形態がよく保存されている。
即ち本城はその構成が優秀であるばかりでなく、近世における城郭の形態を伝える遺跡として稀有のものであり、その価値は極めて高い。
S54-6-047姫路城跡.txt: 姫路城跡は、昭和3年9月20日史跡指定ののち、2度追加指定し、昭和31年11月26日特別史跡に指定。昭和54年、国道2号線改良工事の際発見された中ノ門枡形を形づくる若干の個所を追加指定し、
土塁・門枡形部以南の中濠跡の部分を解除するとともに指定地域の境界を確定する。
または「姫路城跡 文化遺産オンライン」でも詳細確認ができます。
そもそも特別史跡とは何か?
そもそも「特別史跡」とは何なのか、文化庁のサイトには以下のように書かれています。
記念物とは以下の文化財の総称である。
- 貝塚,古墳,都城跡,城跡旧宅等の遺跡で我が国にとって歴史上または学術上価値の高いもの
- 庭園,橋梁,峡谷,海浜,山岳等の名勝地で我が国にとって芸術上または鑑賞上価値の高いもの
- 動物,植物及び地質鉱物で我が国にとって学術上価値の高いもの
国は,これらの記念物のうち重要なものをこの種類に従って,「史跡」,「名勝」,「天然記念物」に指定し,これらの保護を図っている。そのうち特に重要なものについては,それぞれ「特別史跡」,「特別名勝」,「特別天然記念物」に指定している。
史跡等に指定されたものについては,現状を変更し,あるいはその保存に影響を及ぼす行為をしようとする場合,文化財保護法により,文化庁長官の許可を要することとされている。規制により財産権につき一定限度を超える損失を生じた場合には補償を要することとされているが,通例,地方公共団体が国庫補助を受けてその土地等を買い取ることにより実質的な補償に配慮している。また,史跡等の活用を広く図るため,国庫補助によりその整備を行っている。(引用)記念物 | 文化庁
きっちりと「現状変更には文化庁長官の許可がいる」と書かれています。
そして「史跡」として特に重要なものという最高ランクとして「特別史跡」が分類されていることがわかります。
姫路城内は「特別史跡」で新たな現状変更は認められない
「許可がいる」だけなら「文化庁長官」の許可を取ればいいじゃないか。という感じがしますが、
「現状変更」の意味する部分が非常に大きな問題なのです。
往時の頃、この場所に桜はなかっただろう
と言う事が。
神戸新聞Nextが以下のように記事にしています。
現在の姿は「不適当」
であると。。。
今年の春も多くの観光客を楽しませている世界文化遺産・国宝姫路城(兵庫県姫路市本町)の桜。ただ、白亜の大天守との“共演”という絶景が近い将来、見られなくなる可能性がある。城内に約千本ある桜の大半を占めるソメイヨシノは一斉に寿命を迎えつつあるが、貴重な文化財ゆえ新たな植樹は事実上不可能。「今あるものを守るしかない」。関係者らが懸命に延命作業を続けている。(山崎 竜)
姫路城の中堀から内側のほぼ全域は、国が全国61カ所で指定する「特別史跡」。現状変更は厳しく制約され、植樹や伐採などもその対象となっている。
さらに、姫路市が2011年3月に文化庁などの意見も踏まえてまとめた整備基本計画は、酒井家が藩主だった時代(1749~1868年)を「往時の姿」とし、再現を目指している。ソメイヨシノは明治初頭に普及した園芸種のため、江戸期に存在したとは考えにくく、現在の姿はそもそも「不適当」とされる。
同市文化財課は「現在の桜は市民の愛着もあり、伐採まではしない」とするが、計画に基づき、新たなソメイヨシノの植樹は不可能という。文献などを探し、「往時の姿」にふさわしい植生の模索も始めている。
ソメイヨシノの寿命は60年程度ともされるが、城管理事務所によると、大半は樹齢70年を経過しているとみられ、樹勢の衰えが顕著になっている。同事務所は木の根元に縄張りを施し、枝が折れた部分に腐敗防止の薬剤を塗って延命。根などから生える若芽「ひこばえ」の成長に期待を寄せ、「観光客にも大切にする意識を持ってほしい」と呼び掛ける。
(全文)神戸新聞NEXT|社会|姫路城と桜の絶景が消える?
(Everonte)https://www.evernote.com/shard/s380/sh/fb0454d4-6be6-4aac-ac52-ffe7d280be82/aa7f4ecf61f273ca1cf4cbe3c6461bdc
そうなんです。
当然、この桜は「明治初頭に普及した園芸種」であることが分かっていて、
江戸期には存在していない。
もし「現状変更」を行うなら、江戸期の状態とする前提があると言う訳です。
そりゃ、ここには屋敷やらが建っていたわけで、こんなに桜が植わっているわけはないでしょうけども。
植えられないなら、守るしかない現在の桜
神戸新聞NEXTが報じているように、
「新たなソメイヨシノの植樹は不可能という。」「「今あるものを守るしかない」。」
の2つから、
「根などから生える若芽「ひこばえ」の成長に期待を寄せ、「観光客にも大切にする意識を持ってほしい」と呼び掛ける。」
との事です。
さくらの若芽「蘖(ひこばえ)」って何?
姫路城内だけでなく、中曲輪や外曲輪など姫路城周辺の桜の根元を見てみると、
誰でもわかる程に若芽が出ている事に気づきます。
以下は、昨年の埋門内の桜並木で見た若芽「蘖(ひこばえ)」ですが、
このように根元に、新芽が出てきているのです。
よく見ると「新芽」はピンク色をしているのかなと推測されます。
桜の新芽が花びらのように、ピンク色だなんて、なんだか美しいですね。。。
おそらく、こうした新芽(ピンク色)を指して「蘖(ひこばえ)」と言うのでしょう。
ちなみに樹木自体が弱った時などは、何もしなくても勝手に芽を出してくるようなのです。
すなわち、意図的に選定もせずに「蘖(ひこばえ)」が出ていれば、
「この樹は弱っているのではないか?」と疑うこともできるというサインなのですね。
え!?もしかして、これって毎年出した芽を見ている??
上でご紹介した「蘖(ひこばえ)」の写真を見ていて、ふと気づきました。
これって、、、3年間の遍歴を見ているんじゃないかと。(又はそれ以上前か)
どう思います?なんとなく、毎年芽出した芽が、それぞれに大きくなっているように見えませんか?
もし、1年でこのくらいずつ幼芽の段階ではゆっくり成長していくとしたら、
横にあるような太さの幹になるには・・・
大変な年月がかかることが分かりますね、70年スパンを要していると推測すれば。
植えることもできない。自然の世代交代に頼るしかない三の丸広場
三の丸広場では桜の根元に人が立ち入れないように立入禁止の柵がされています。
それでも、トイレや喫煙所、売店の周辺など、
桜の根元に普通に立ち入る事ができる場所も多くあります。
そんな時には「根元に注意」して、
大切な新しい命「蘖(ひこばえ)」を踏まないように注意して欲しいなと思います。
樹木は動けない。
そこでじっと70年頑張り続けて、皆を楽しませてくれて来たのです。
私達も少しの優しさをもってあげたい。そう思います。
美しいこの桜がいつまでも見られますように。
以下、2018/3/16追記部
特別史跡内なのに幼芽を伐採!?草刈りを雑にやった結果だろうか。。。
1年ぶりに前年に確認した「幼芽(蘖)」の成長を見に行ってきました。
が、、、確か前年に確認したのはこの「南部土塁18号」君だったと記憶しています。
南部土塁のこのエリアは、中濠内側(東部一部除く)に指定されている「特別史跡」内側です。
※桜は「現状不適格」で本来は伐採され撤去されるべきものだとは認識してますけども・・・。
姫路城は南方を大手、東北方を搦手とし、3重の水濠をめぐらし、内濠以内の内郭(内曲輪)・中濠以内の中郭(中曲輪)・外濠以内の外郭(外曲輪)からなる総構方式である。中濠南部が埋め立てられて国道2号線になっており、中郭の南東一角は除かれているが、おおむね中濠以内が国指定史跡の中でも特に重要とされる特別史跡の区域である。
(抜粋引用)姫路市|特別史跡 姫路城跡
(Evernote)https://www.evernote.com/shard/s380/sh/adac6def-cd4b-40ea-965e-5f6c8edbbd57/f045e3ca8b681f81474c8f26956cbc5a
この「南部土塁18号」の根元を見てみましたところ、あるはずの芽がないのです。
どう見ても、何も生えていない。
何かが生えていた痕跡はちらほら見えます。
絶対にここには幼芽が生えていたと前年写真からも断言できる箇所がこの有様です。
実に無残。
これが無計画な雑草刈りの際に刈られたものではなく、
植木業者(樹木医監修なら尚良)による樹木保護のために行われたものであればいいのですが。
それでも、木本体が既に寿命を迎えつつあって、木自身が世代交代の為に芽だししていることは分かっている事。
1本も残さずにカットするのは正しい事とは私には思えませんでした。
本当にプロの仕事なのか?これ。
1本東側の桜の木の根元にも昨年は幼芽が出ていました。
そちらを見ても、この有様です。
なんか「桜の芽や枝は大切に」そんな風によく耳にしてきていただけに、
正直「なんなのこれ?」状態でした。
桜は枝を折っただけでも非国民扱いされる程(冗談)の皆が大切にしている木だと思います。
それがこんな程度でいいって事だと、自分自身ちょっと考え方が変わってしまいそうです。
それでも当の本人(木)は、切られても、そこから新しい芽を頑張って延ばしているようで、
たくましい限りだなと思いました。
こういう幼芽をカットして「親木の方へ栄養を回す」これが大切なんだと、
プロには言われそうですけど、カットしたとこからまた芽を出していては、
全然、親木に栄養がいかないような気がしますけども。
この処置で本当に50年後の責任持てるんでしょうかね・・・疑問です。
別に私がとやかく言う事でもないですけども。
何はともあれ、また数年は撮影ができないであろう「蘖」の写真を去年残しておいてよかった。よかった。
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