姫路城の勢隠濠(内濠の北側)の源泉池の湧き水が・・・湧き水じゃなかった衝撃。
2018/03/11
姫路城の濠の源泉(開始点)になっている池が城の搦手(東)・との四門脇にあります。
小さな池からいつもコンコンと水が湧いて出ているとばかり思っていたこの水は・・・
湧き水ではないのだという事が判明しました。
コンコンと湧き出た水が姫路城の濠を支えているなんて勝手に美談にしてしまっていました。
概要(見出し)
姫路城の勢隠濠(内濠の北側)の源泉池の湧き水が・・・湧き水じゃなかった。
毎年姫路城の年末にはクリーン作戦が実施され、
姫路駐屯地の自衛隊の隊員の皆様が大天守や周辺石垣の清掃をしてくださいます。
姫路城の年末一斉清掃で、自衛隊員の皆様による訓練の一環として、城石垣の雑木伐採除去、内堀の清掃等通常実施困難な箇所を重点的に実施します。これは昭和51年から毎年実施しており、今回で42回目になります。平成24年からは、自衛隊員の皆様と市民の皆様が合同で清掃活動を展開しています。
(抜粋引用)姫路市|姫路城クリーン作戦について
(Evernote)https://www.evernote.com/shard/s380/sh/a9881288-3ce6-4044-872f-a10c8c16c4a8/6ff3030780d49bcf7381cf5be7d1474a
そんなニュースの翌々日、姫路城へ行ってみると、
いつもと違った姫路城周辺になっていました。
まぁ、三の丸広場からの姫路城はいつも通り鮮やかでした。
干上がっている内濠
いつもと違っていたのは、内濠です。
大手門前付近の内濠がこのように干上がっていたのです。
清掃活動の為に水を抜いて作業性を良くしたんだなとすぐに感じました。
普段はこのように潤沢に水がありますので、普段とは全く違う状態になっています。
普段は内濠に映る夕景がとても綺麗です。
水位が下がるとみられる「姫岩」
さて、ずっと内濠を北へ進み、途中からは内濠から勢隠濠という名称に変わります。(どこからとは決まってない)
姫路城の北側の勢隠濠には「姫岩」と呼ばれる岩が水面下にあり、
濠の水位が下がった時だけ顔を出すと聞いていましたので、少し見てこようかなと思い立ちます。
これは以前、芳賀先生よりお教えいただいた情報でした。
ずっと、干上がっていて歩いて進める状態になっています。
といっても城の西側は歩けるほどの浅さではないようです。
好古園との間の道を北上し、南勢隠門付近まで来るとまた水面が下がって石が見えてきていました。
このあたりに、城からの脱出用に歩いて渡れるような石が連なってあるとかないとかを、
聞いたことがありましたが、もしかしたらそれが「姫岩」だったのかな。
歩いて渡れそうな感じはしません。
南勢隠門跡の少し北側から、南勢隠門跡方向を見ています。
濠から岩が顔を出しています。
ちなみに南勢隠門跡は姫山公園から好古園へ抜ける途中の
クランク状に遊歩道が折れている部分になります。
結構な大きさの岩が露出しています。
これ、なんとなく岩盤がそのまま露出しているような気がしますねぇ。
芳賀さんのFacebookの頃(2017年夏)はもっと水位が低かったんだなと。
周囲の水位も、岩が2つ顔を出していたりと、もっと水位の低いタイミングを今度は狙いたい。
1mくらいは幅がありそうな岩でした。
かといって、この岩を使ってポンポンと勢隠堀を渡れるか?と言えば、
濡れてもいい恰好でチャレンジはできそうだけど、たぶん対岸まで渡る成功率は高くはなさそう。
姫岩はみたから、とりあえずいいかと思いましたが、
少し気になった事があったので調査を継続しました。
勢隠堀の源泉は水が湧いていたはずなのに、なぜ干上がるのか?
そうなんです。
以前から、勢隠濠の源泉にあたる場所が喜斎門跡付近にあることは知っていました。
湧いている水があるのに、なぜ水位が下がるんだろう。
え?掃除があるから、源泉の湧き水を止めてるの??
もしかして、これ、水道コックのように水を自由に止められる??
そんな素朴な疑問を感じたわけです。
そして勢隠堀のスタート地点にあたる場所まで来ました。
これは、姫路神社のすぐ脇の濠になります。
ちなみに、水位が下がった事で、姫山公園内の池もこの有様です。
この濠の始点はさらに上流があり、細い小川で流れ込んできますが、
やはり水は流れていません。
ここが源泉にあたるはずの池で、喜斎門跡の公衆トイレの北に位置する場所です。
ここもまた、干上がっていて水が湧いている様子もありません。
普段はこのように波打つほどに水が湧いて見えている状態なのです。
池からは潤沢に小川に流れ込んで勢隠濠へと流れていきます。(写真は2014年ですが)
清流のように勢隠濠に流れ込むのがいつもの風景でした。(写真は2014年ですが)
湧き水なら清掃の都合で止めることができるはずはない。流水は人工なのか?!
そうなんです。
クリーン活動の効率を良くするために濠の水位を下げるにしても、
湧き水なら流れ続けているはずなのです・・・。
御上の都合で湧き水は止められるはずはありませんし、偶然止まったとも考えにくい。
それでも、妙にタイミングよく湧いていません。
これは聞いてみるしかありません。
城郭研究室ご担当者様
Q.との四門脇の池が勢隠濠の源泉だと認識していますが、現在水が止まっています。これは水道や井戸水を汲み上げているのですか?
A. 池の水は濠の水を循環させています。取水地などは担当ではないので、管理事務所または総合管理室へお聞きください。少なくともこんこんと湧いている水ではありません。姫路城管理事務所ご担当者様
Q. との四門脇の池の水は濠の水を循環していると聞きましたが、取水地はどこなのでしょうか。
A. 担当ではないので断言はできませんが、喜斎門跡の橋付近だったと思います。詳しくは念のため総合管理室へご確認をお願いします。総合管理室ご担当者様
Q. との四門脇の池の水は喜斎門跡付近からくみ上げて循環させていると聞きましたが、どのあたりからくみ上げていますか。また取水口は見えますか?
A. 喜斎門跡の橋の付近から汲み上げています。取水口は見えます。※お電話でお聞きした内容を記憶の範囲で要約しています。(口語等はそのままの表現ではありません)
※どこが御担当か存じ上げなかったとはいえ、諸処皆様にご協力賜りまして感謝申し上げます。
ヒントは「喜斎門跡の橋」「取水口は見える」という結論で、
そこから取水して、池までポンプアップして循環しているということのようです。
取水口を探すしかありませんが、どこにもあるようには見えません。
橋の下にもそれらしき配管も見えません・・・。
ぼーっと探していたところ、ん?何かある?と気づきます。
早速、現地へGOします。
日はとっぷり暮れかけて、薄暗いなか「取水ポンプ」を探すオレ。
(バカだろ、今日はクリスマスですよ?濠のポンプ探す日じゃないでしょう…)
先ほどの場所にはなにやら建屋が設置されています。
そして、一応は立入禁止の柵は設置されていないので、立ち入ることはできそうです。(非推奨)
うん、どうみても設備です。
柵がないので立ち入る事はできるようになっていましたが、
同様に内濠のキワにも柵はありません。落ちれば確実に翌朝まで溺れてるでしょう。(完全自己責任)
恐々と細心の注意を払ってのぞき込みます。ビンゴ!
取水パイプです。(水面下まで伸びているパイプがその証、排水なら水面までは不要だし)
と言う事は、ここから取水して、石垣(文化財)を避けてぐるっと道の下を通って、
「との四門」の脇の池までポンプで送っていると言う事になります。
ここ最近、姫路城の内濠や三国堀の水位が下がっていることが多いようですが、
この日は前々日のクリーン作戦の為に、敢えて抜いていたのだと確信が持てました。
もしかすると普段、水位が下がっている時も、
単にポンプを止めている状態で、晴天が続いた。ただ、それだけだったのかもしれません。。。
実は自由に止水ができるポンプによって汲み上げられているという事実が分かりました。
これはちょっと衝撃でした。
湧き水だとばかり思っていた自分の勝手な美談が、濠の水を循環させているだなんて。
ま、工事風景の夜景が綺麗だったからいいけど。
嫁にこの話をしたら・・・さらっと一言。
「湧き水にしちゃ、なんとなく水が濁っているように感じて、違和感あったのよね」と。
コヤツするどいな。。。
循環を止めたとして、どこから内濠の水を抜くの?
次は濠の水位を下げる方法を考えます。
内濠から水を抜く堰は、先ほどの南勢隠門付近にある堰が利用されていると推測できます。(未確認)
先ほどの姫岩より、少し南側の場所です。
穴に、水が落ちているのが見えます。
この水が、好古園で利用されているのか、直で中濠へと流されるのかはわかりませんが、
内濠から排水するにはここが利用されていると思われます。
手動開閉の堰が設置されています。
源泉が循環水だとすると・・・水位は雨水頼みか。
源泉が湧き水だとばかり思っていたので、
濠の水を抜いてもそのうち増えるんだろうくらいに思っていましたが、
これが循環水。
そうなると、内濠の水位を上げてくれるものは「雨水」ということになります。
どこかから注水でもしない限りは。
大雨でも降らない限りは、当分はこの水位が下がった状態が続くことになりますね。
ちなみに12/24夜から12/25朝の雨で、少しだけ池の水位が上昇していました。
これの積み重ねで濠の水をためていくしかないとは・・・。
きっと誰も興味がないであろうこんな記事でしたが、
たぶん年に1回くらいは「これって湧き水?」って人が検索してくれるはず!
そんな時の為に、書き残しておきます。
以下は、2017年クリーン活動に関する記事になります。
姫路城の自衛隊による清掃活動のニュース
姫路市では以下のように広報しています。
姫路城の年末一斉清掃で、自衛隊員の皆様による訓練の一環として、城石垣の雑木伐採除去、内堀の清掃等通常実施困難な箇所を重点的に実施します。これは昭和51年から毎年実施しており、今回で42回目になります。平成24年からは、自衛隊員の皆様と市民の皆様が合同で清掃活動を展開しています。
趣旨
世界文化遺産「姫路城」を、自衛隊と市民の皆様が合同で清掃活動を行うことを通して、広くボランティア清掃及びまち美化運動への協力を呼びかけ、参加者のみならず多数の観光客・市民の美化意識の高揚を図るとともに、日頃の清掃活動では手の届かない部分を含め、城全体を清掃することで美しい姿で新年を迎えようとするものです。実施日
平成29年12月20日(水曜日)9時00分から(自衛隊員による清掃活動については7時20分から16時00分頃)
雨など荒天の場合は、当日7時00分に実施の有無を決定します。(抜粋引用)姫路市|姫路城クリーン作戦について
(Evernote)https://www.evernote.com/shard/s380/sh/1e91b756-80e3-4fc3-aee6-aec43f403791/f6a67c9722eb4fdd9963e6fe6bfec426
NHKオンラインでは以下のように報じています。
自衛隊員が姫路城を大そうじ
兵庫県姫路市の国宝・姫路城では、自衛隊員がふだんは手入れが行き届かない天守閣のすみずみまでをきれいにする年末恒例の大そうじが行われています。
世界遺産で、国宝でもある姫路城では、およそ40年前から地元の陸上自衛隊姫路駐屯地の隊員たちが年末に大そうじをするのが恒例になっています。
20日は朝から隊員およそ500人が出て、天守閣では山岳救助などの特殊な訓練を受けた隊員たちがすす払いをしました。
隊員たちは、命綱となるロープをしっかりと腰にまきつけると天守閣の外に身を乗り出し、長いほうきを使ってほこりがついた軒下などをきれいにしていきました。
また、西側の小天守では高さ10メートルほどの石垣をよじ登って外側から汚れを落としました。
水かさが少なくなった内堀では、石の間にはえた雑草などを隊員たちが手作業で丁寧に取り除いていました。
陸上自衛隊姫路駐屯地第3特科隊の栗山慎之介さんは「『白鷺城』と言われるように姫路城を真っ白な姿にして、きれいな新年を迎えられるようにしたいです」と話していました。
この大そうじは、20日午後4時ごろまで続きます。(引用)自衛隊員が姫路城を大そうじ|NHK 関西のニュース
(Evernote) https://www.evernote.com/shard/s380/sh/60650f1f-7cc6-4fec-8aad-92a2c3dc2eaa/6a267b621e36f021579d8846cf2b378a
産経新聞では以下のように報じています。
「姫路城クリーン作戦」 レンジャー隊員が大天守を清掃
世界文化遺産・姫路城(兵庫県姫路市)を、自衛隊と市民が協力して清掃する「姫路城クリーン作戦」が20日、実施された。陸上自衛隊姫路駐屯地から約520人の隊員が参加。今年は石垣や堀の清掃のほか、初めて隊員による大天守の屋根のすす払い作業も行われ、大がかりな清掃作戦が展開された。
石垣や堀などの危険な場所を清掃するため、同駐屯地が昭和51年から毎年、実施している。この日は午前7時ごろに隊員らが城内に到着。車両約70台、ボート約20隻を使って清掃が開始された。大天守の清掃は1、2層と最上層の屋根で行われ、レンジャー部隊の隊員12人が担当。ロープを頼りに石垣を登って屋根に近づき、ほうきでクモの巣などのごみを払い落としていった。
また、約400人の市民も参加し、城内の清掃や自衛隊員が収集したゴミを集積場所に運ぶなどした。(引用)「姫路城クリーン作戦」 レンジャー隊員が大天守を清掃 – 読んで見フォト – 産経フォト
(Evernote)https://www.evernote.com/shard/s380/sh/1e91b756-80e3-4fc3-aee6-aec43f403791/f6a67c9722eb4fdd9963e6fe6bfec426
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