五階(大天守)
姫路城の5階は、姫路城最上階の1つ下の階ということ、
そして狭い空間に何もないような印象を持ってしまいがちです。
この階は地下から伸びた「西大柱」「東大柱」の上端を見ることができます。
ここはスルーしてしまいがちな場所ですが、
実は大天守5階は外から見ると隠し階のように存在しています。
外からは地上5層に見える姫路城が、
地上6階になっているのはこの階の存在が大きな役割を果たしています。
2017/07/01一部訂正
閲覧者様よりのご指摘を頂きました点を訂正いたしました。
「高窓」の表記を「煙出し窓」へと変更しました。
5階は階高が低く煙出しに設けられた窓は「高窓」と呼ぶには低すぎるとの判断です。
五階(大天守)
大天守の5階は姫路城の南面から見た場合、
およそ以下のような位置にあたります。
この大天守の5階は外観から見ると4階部分と一体になって見え、
外からこの5階部分の存在がわかりにくい構造になっています。
これは外部から城を攻めようとした場合に、
最上階へ到達するまでに敵を困惑させるような、
仕組みでこのようになっていると言われています。
大天守の5階に登ると左奥の部分に案内板が設置されています。
姫路城は適宜ルートが変更されますので現地のご指示に従ってください。
※矢印は順路を示します。
「→(青)」は行き(登り・登閣)を示します。
「→(赤)」は帰り(下り・降閣)を示します。
大天守内のルートは予告なく随時変更される場合があります。
内覧時に変更されていた場合には Twitter からご連絡頂けますと幸いです。
案内板
案内板には見どころが紹介されています。
案内板に表示されているQRコードを読み取ると、
スマホでそのフロアの見どころなどの紹介を確認することができます。
西大柱
地階からこの5階まで伸びた西大柱の最頂部を見ることができます。
ここまで西大柱は繋がって、姫路城大天守の重要な構造材となっています。
西大柱
東西2本の大柱の最頂部で、地階から5階梁まで通し柱となっています。柱が梁を受ける接合部分は、昭和の大修理の際に鉄板で補強しています。
ずっとこうして姫路城を支え続けてきたと思うと、
何か愛おしい感情が込み上げてきます。
東大柱
同じく、地階からこの5階まで伸びた東大柱の最頂部を見ることができます。
東大柱
昭和の大修理前、本来の東大柱の中心線から東南方向に約37cm傾いていました。江戸時代の初めには、大柱そのものが建物の重さなどで歪んで変異したようですが、次第に建物全体が傾いたため、多くの支柱を入れて補強してきました。
東大柱も歴史を感じる風格を放っています。
この5階部分はあまり意識してみるところがないような、
印象を受ける空間ですが、他の階で紹介されてきた見どころも含まれています。
南側の千鳥破風内部には、
窓が開けられさらに上部には、排煙用の 高窓 煙出し窓 が開けられています。
これは火縄銃の煙を抜くための窓として利用されたとされています。
ここでも「六葉釘隠し」を見ることができます。
ここは取り付け位置が低いため
「六葉釘隠し」をじっくりと眺めることができる場所でもあります。
六葉釘隠しについては以下でご紹介しています。
破風の左右(全体の四方隅)には、内室(倉庫)が設けられ、
籠城時の食料や武具などが収められていたとされています。
千鳥破風の軒下がり部分(天井高が低い)部分を、
収納スペースとして有効活用しているのが見ててとれます。
先ほどもご紹介しましたが、
この5階部分は外からはわかりにくい位置にあります。
千鳥破風部分を外から見てみると、この位置になります。
一見すると4階屋根部分のように見えているのが、
敵を欺くトリックになっています。
東面の部分にも、内室に挟まれた空間があります。
ここは 高窓 煙出し窓 はありませんが、武具掛けが取り付けられています。
この部分を外から見てみると「軒唐破風」部分に、
うまく収められている空間を利用していることがわかります。
内室の内部を確認することはできませんが、
「千鳥破風」「軒唐破風」が設けられて、
屋根裏の低くなっている部分以外が内室として利用されています。
推測になりますが内室内部は天井高が低くなっていると思われます。
現代でいうところのロフト部や階段下収納のようなイメージかと思います。
後生に大きく期待
昭和の大修理の際に補強のために入れられた鉄板の拡大です。
時代なので仕方ない部分はあるのでしょうけど、
これほどの重要な文化財に荒っぽい補修をしたものだなと感じてしまいます。
「この補修があった為に今まで倒壊せずに残った」とも考えられますが、
次の世代か、次の次の世代では取り除いて、
本来の姿に戻してあげて欲しいなと思ってしまいます。
(これじゃ、ウソップの修理じゃないか・・・そう思う)
ウソップはメリー号を愛していた。
愛された船にも、そして城にも私はクラバウターマンが宿ると思います^^
刻み番付
大天守の5階は、最上階の直下の階で広くもないため、
内覧時には周りを見渡して「ふーん」といった感じで通り抜けてしまいがちです。
ですが、大天守5階には姫路城を築城する際に、
職人達が材料をどこで使うものかを示した「刻み番付(きざみばんづけ)」を見ることができます。
刻み番付については以下でご紹介しています。
さいごに
大天守の5階は、東西大柱の頂部や千鳥破風、唐破風の内部から、
姫路城の四方をゆっくりと眺めることができる場所です。
大天守6階の最上階では人が多くてゆっくりできない場合もありますが、
大天守5階は皆がスルーする場所でもありますので、
ゆっくりとすることができます。
上の階へは以下から行けます。
下の階へは以下から行けます。
なお、大天守の全体については、以下でご紹介しています。
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公開日:
最終更新日:2019/02/02