姫路観光の見所・ポイントを徹底的に解説しています。姫路城だけでなく姫路に来た際に役に立つ周辺情報もご紹介しています。

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名塩紙(なじおし)

姫路城の「折廻り櫓」の特別公開に合せて内部の障子の張替が行われました。
使用された障子には重要無形文化財「名塩紙」を、
市民が自ら手漉きを行って作成した紙が使用されるという趣向が凝らされています。
また手漉き和紙にはちょっとした遊び心も凝らされていました。

「折廻り櫓」の内部は通常は非公開となっています。
2018/02/01~2/28の間の冬の特別公開において内覧時の写真にてご紹介しています。
今回が8年ぶりの特別公開でしたので次回の公開はまた数年後になると思われます。

また本記事は姫路城内で今回採用された「名塩紙」についてご紹介するものであり、
伝統の名塩雁皮紙(間似合紙」について言及するものではありません。

名塩紙(なじおし)

「折廻り櫓」の特別公開において「名塩紙」の説明パネルが設置されていました。

名塩紙

障子には「名塩紙技術保存会」の指導により市民の手で紙漉きをおこない、姫路藩御用紙を再現したものを使用しています。

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説明パネル・名塩紙(折廻り櫓)

 

また特別公開に合せて「名塩紙」についての
リーフレット(A4)が作成され配布されていました。

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配布リーフレット・名塩紙(折廻り櫓)

 

※作成者の記載がありませんでしたが「城郭研究室」さんの作成ではないかと推測します。
※リーフレットの文字お越しについては文末でご紹介しておきます。

リーフレットにも書かれている通り、
今回市民が漉いた和紙は、西室と中室の障子5枚に使われています。

名塩紙というと泥土を混和して作る「名塩雁皮紙(間似合紙)」が有名なようですが、
用途としては襖紙などに使われるものであるため、
今回は障子用に「名塩雁皮紙」ではなく障子用に白い紙として作成されたようです。

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名塩紙障子の完成例・名塩紙(折廻り櫓)

 

障子の二マスに漉いた紙一枚の割りで下から上に張っていき、5枚の障子を完成させました。
(引用)リーフレットより

と、書かれているように、2マスごとに1枚が使われていると言う事は、
そのまま解釈して「2グリット」で1枚を使うと言う事になります。

後述の「神戸新聞Next」の記事で紹介されている障子張り模様の写真から見ると、
縦2マスを1枚で張っていることが見て取れます。

ここ1枚の障子で24枚の手漉き和紙が使われていることがわかります。
ふーんと何気なく見慣れた障子だと過ぎ去ってしまいがちですが、
メチャクチャ大変じゃないか!

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名塩紙障子の割り付け・名塩紙(折廻り櫓)

 

実際に張られた和紙は手漉きならでは模様が風合いとなって綺麗でした。

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手漉きならではの風合い・名塩紙(折廻り櫓)

 

中室の入口(部屋に向かって左(東))の障子の下部には「ヒナ」の透かしが入れられていました。

そのうち2枚に姫路の「ヒ」と名塩の「ナ」をとり「ヒナ」という「すかし」を入れました。どこにあるか探してみてください。
(引用)リーフレットより

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ヒナの透かし文字・名塩紙(折廻り櫓)

 

西室と中室以外の障子に関しては既製品の『土佐和紙「長生殿 未哂(寒漉和紙)」』で、
「梅岡一晴氏」と「一晴堂」の方が、
「残り18枚(「折廻り櫓」東室、「続櫓」と「備前門櫓」)」を張ったと書かれています。

長生殿和紙」は幅60cmまたは62cmで長さ92cm規格のロールタイプで売られています。
手漉きではなく機械漉き和紙になりますが、幅が広くロールなので張り手間は抑えられます。
(業務用は別規格の可能性もあります)

しかし、お値段はやはり最高級品障子和紙ですね。自宅には使えない・・・。
楽天でも買うことができますけど。

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名塩紙の発祥「名塩」にある名塩SAの「名塩雁皮紙」紹介パネル

私は和紙に馴染みがなかったのですが「名塩」と聞いて思い浮かぶのが「名塩SA」でした。

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名塩SA・名塩紙(折廻り櫓)

 

丁度、名塩を通る機会がありましたので、ちょっと探してみた所ありました。紹介パネル。

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名塩雁皮紙案内パネル・名塩紙(折廻り櫓)

 

紹介パネルには以下のように書かれています。

国指定重要無形文化財 名塩雁皮 兵庫県指定無形文化財 名塩紙技術

国指定 平成14年(2002)7月8日
県指定 昭和58年(1983)3月29日

名塩における製紙の起源は、多くの伝承があり明らかではないが、17世紀初頭(慶長(1596-1615)元和(1615-1624)ごろ)に越前から製紙技術が伝わったものと思われる。

その製法の特色は、雁皮を原料とする紙料の入った漉舟に、当地で採取される各種の色相をもつ泥土の微粒子溶液を混和して仕掛け、ネリ(接着剤)としては主にノリウツギを用いることにある。また漉き方は、漉舟の前に足を組んで座った男子による溜漉で 麻布に柿渋を施して耐水性を強めたをはった竹を下桁の上にのせ、上桁でおさえ漉く。漉かれた紙は、銀杏の干板に刷きつけられ、天日によって乾燥される。泥入雁皮紙である名塩紙は、日焼けせず、シミができたり虫に食われることもないので、長期の保存に耐えることができる。このような特色のため、江戸(1615-1868頃)時代には藩札の地紙として、また高級なふすまや屏風も上張り、下張り用として需要が多く、名塩千軒と称されるほどの繁栄ぶりであった。

明治以降、洋紙の進出や生活様式の変化により、手漉き和紙の需要が減少し、現在ではわずかに2軒が漉き続けているにすぎない。

しかし、近年、名塩紙のもつ独特の風合いが、再認識され、特注を受けて箔打紙、金箔・銀箔の圧延用、箔下紙(圧延された金箔を張りつける際の下張り紙)、名塩鳥の子紙(書画、美術用)、間似合紙(ふすま用)などが漉かれている。昭和58年(1983)3月に名塩紙技術保存会が結成され、伝統的な製紙技術の保存と後継者の育成に積極的な取組みがはかられている。

解説:西宮市教育委員会
設置:西日本高速道路株式会社

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名塩雁皮紙案内パネル(拡大)・名塩紙(折廻り櫓)

 

最後に今回配布されていたリーフレットについて文字お越しをしておきます。※青文字は当サイトの追記です。

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配布リーフレット・名塩紙(折廻り櫓)

市民参加で世界遺産姫路城の保存継承
「市民の手で障子紙を漉いて張る」

重要文化財「折廻り櫓」の公開にあたり、有識者の指導で市民が障子紙を漉いて張り、世界遺産姫路城の保存継承活動を行いました。

障子紙漉きは、2017年が姫路藩家老河合寸翁生誕250年にあたり、寸翁が1819年〔205 年前〕に名塩紙技術をもつ紙漉師を姫路藩に招いて、御用紙漉きを始めたことにちなみ、兵庫県指定無形文化財認定保持団体「名塩紙技術保存会」の指導で行いました。

御用紙漉きは現姫路市香寺町須加院に「須加院村御用紙所」を設置し、主に藩札(木綿切手)用の紙漉きを行いましたが、明治に至り廃絶しました。

1.障子紙の紙漉き

①紙原料の採取
書写山円教寺及び同寺鬼追い会式保存会に協力いただき、名塩紙技術保存会の皆さんと市民有志で書写山の雁皮を採取し現地で雁皮はぎを行いました。

②紙料の製造
採取した雁皮は、名塩紙技術保存会が、あく抜き、乾燥、荒みしり、干し、釜たき、灰汁だし、叩解を行い雁皮原料を製造。保存会で準備したの手洗い、叩解を行い原料を製造。折廻櫓の破れた襖の中張り紙を漉き返し再生原料を製造。障子紙に適する配合として60%、雁皮25%、襖の中張り再生原料15%として叩解して障子紙原料を製造し、試し漉き、紙刷き、板干しを行いました。

③紙漉き
2017年8月10日、小中学生を含む市民40人が、名塩紙技術保存会に紙漉き道具類(代用品)を借用し、保存会の指導を得ながらイーグレーひめじで紙漉きを行いました。漉いた紙は保存会が名塩で紙刷き、板干し、板おろし、仕上げを行いました。また障子紙の不足分は保存会が紙すきを行い、そのうち2枚に姫路の「ヒ」と名塩の「ナ」をとり「ヒナ」という「すかし」を入れました。どこにあるか探してみてください。

2.障子張り

①重要文化財「折廻櫓」西室2枚、中室3枚の障子張り
2017年8月17日、元文部技官西村一氏も立会い、紙漉きを行った市民40人が、現代の名工梅岡一晴氏と一晴堂の指導を得ながら姫路美術館講堂で障子張りを行いました。障子の二マスに漉いた紙一枚の割りで下から上に張っていき、5枚の障子を完成させました。

②障子の仕上げと折廻り櫓障子の復旧
梅岡一晴氏と一晴堂が市民の張った障子の仕上げと修復が必要な残り18枚(「折廻り櫓」東室、「続櫓」と「備前門櫓」)の障子の張り替えを行いました。市民が漉いて張った「折廻り櫓」西室と中室5枚の障子紙と調和するように、土佐和紙「長生殿 未哂(寒漉和紙)」を使用して張り替えました。

 

市民による手漉き和紙作成については神戸新聞も以下のように報じています。

姫路城の障子張り、手製の紙使い挑戦 市民40人

江戸時代に姫路藩の家老河合寸翁(1767~1841年)が導入した紙すき技術を知ってもらおうと、兵庫県姫路市は17日、同市本町の市立美術館で体験イベントを開き、姫路城大天守東の「折廻櫓」用の障子張りに約40人が挑戦した。姫路城の障子に市民が漉いた紙を使うのは初の試み。

姫路藩の紙すきは、寸翁が1819(文政2)年に摂津国下山口村(現西宮市)から名塩紙の紙漉(かみすき)師・宮辻弥次兵衛を招いたことから始まったとされる。

「御用紙」として主に藩札に利用されたが、明治期には廃れたという。

イベントは寸翁の生誕250周年にちなみ、姫路藩の紙すき技術を復活させる機運を盛り上げようと、市が初めて企画。参加者は今月10日、書写山で採取した原料などを使い、西宮市の「名塩紙技術保存会」の協力の下、約140枚を漉いた。

「現代の名工」の表具師梅岡一晴さん(78)が紙の張り方を指導。参加者は折廻櫓にある五つの障子の桟にはけでのりを付け、すいた紙を丁寧に張った。

母親と参加した東中学校1年の男子生徒(12)は「難しい作業だったけど、自分たちですいた紙を姫路城の障子にすることができてうれしかった」と話していた。(三島大一郎)

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(出典)姫路城折廻櫓の障子に和紙を張る参加者ら=姫路市本町|神戸新聞Next

(出典・全文転載アーカイブ)神戸新聞NEXT|姫路|姫路城の障子張り、手製の紙使い挑戦 市民40人
(Evernote)https://www.evernote.com/shard/s380/sh/c26e41e1-aaea-4c28-a1ca-eb48e7bbc49d/52a1e5ed8ad628fd3ac08e48769759bb

 

この市民による手漉き和紙の作成イベントについては姫路市が以下のように報じています。

姫路城の障子紙を漉く(締切り延長しました!)

姫路藩家老河合寸翁が文政2年(1819)に名塩紙の技術を導入して姫路藩御用紙を始めましたが、惜しくも明治に至り廃絶しました。
河合寸翁生誕250年にあたり、いま再び名塩紙の技術支援(兵庫県指定無形文化財)を得て、市民の手で姫路城の障子紙を漉くことにとりくむことにしました。

今回、姫路藩御用紙(名塩紙)の技術で障子紙を漉き、姫路城の折廻櫓(おれまわりやぐら)の障子に貼る参加者を募集します。

日程及び内容

紙漉き

日時:平成29年8月10日 木曜日  午前の部 10時30分から、午後の部 13時30分から
場所:イーグレひめじ
内容:姫路藩御用紙(名塩紙)の技術で、姫路城の障子紙を漉きます。

障子張り

日時:平成29年8月17日 木曜日  10時30分から
場所:姫路城内
内容:10日に漉いた障子紙を、姫路城の折廻櫓(大天守東側)の障子として貼ります。

(全文転載アーカイブ)姫路市|姫路城の障子紙を漉く(締切り延長しました!)
(Evernote)https://www.evernote.com/shard/s380/sh/2fe9672d-4d7f-437d-bd60-a38ece818b81/952fdca227aefd9c348f98416b035a86

 

名塩雁皮紙の製造工程の例

ちなみに以下のサイトでは「名塩雁皮紙(間似合紙)」の工程について紹介して下さっています。

名塩雁皮なじおがんぴし間似合紙まにあいし)ができるまで

名塩雁皮なじおがんぴし間似合紙まにあいし)は雁皮*1と泥土を主原料とし、溜漉きという特殊な方法で漉かれます。どの工程も非常に高度な技術と熟練を必要とします。

*1:雁皮は古代から日本独特の製紙原料として利用されている落葉低木です。雁皮を用いた紙は優美な光沢を持ち防虫性や防湿性に優れています。しかし成育が遅い上に栽培が難しく、野生のものを採取して利用せざるを得ないことから、製紙原料としての供給量は多くありません。


<作製手順>
1.雁皮の皮をはぎ、アルカリ性溶液と一緒に炊いてアク抜きをする。
2.雁皮のチリを取り除いてから細かく砕いて炊く。この時点でドロッとした状態になる。
3.名塩特産の泥土を用いて泥土水を作る。
4.2と3を調合する。
5.4でできたものに『うつぎのり』を加える。
6.すきげたで5を漉く*2。このとき、均一な厚みになるようにする。
7.漉いた紙を板で挟んで積み石をし、一晩置きます。
8.水切りをした紙を一枚一枚干し板にはりつけて、天日乾燥します。
*2:間似合紙は泥が入っていて重いため座って漉きます。一般の和紙はすきげたを動かす「流漉き」ですが、この紙はすきげたをあまり動かさない「溜漉き」という漉き方で作られます。溜漉きは和紙では特殊な工法です。

(引用)表具師 玉木楽山堂 表装関連記事-名塩雁皮紙(間似合紙)のお話
(Evernote)https://www.evernote.com/shard/s380/sh/80f4ad4f-eeb9-4ccd-9205-d17d9b75c9d4/0035fb054e7874f54e33684326fe8f6e

 


公開日:

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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